感情を出すのが怖い(1)

2008年08月27日掲 載

 「感情を出すのが怖い(1)」

僕が行う心理カウンセリングにやってくるクライアント、特に若い世代の人たちと語り合っていると「感情を出すのが怖い」という言葉が返ってくる。
人とつき合っている中で自分の気持ちを伝えるのが難しいということらしい。つい当たり障りのなり話題で終わってしまうという。相談に来た20代のA子さんも、現在の恋人との関係で悩んでいる。
「コンサートに行ったり共通の趣味で共に行動している時は緊張しないのだけど、二人だけで向き合ってしまうと何を言っていいのか分からないんです。自分の感情が受け入れられていないかなと感じたりすると恐ろしくなったり、逆に私の言葉が彼を傷つけないかなと、自分の本音を閉じこめてしまう。だから、大事なことは案外メールで送ったり。それでも、断定的な意見は控えちゃうけど。だから、いつまでも平行線なんです」。

どうして私はこうなんだろう?どうしてこんなに臆病になったんだろう?答えを探るようにA子さんは遠くを眺める。
「答えは簡単に見つからないだろうけど、自分の感情を掌にのせてじっくり味わうことはできるかもしれないね。自分の心をちょっとクレヨンで描いてみようか」。
そう言いながら、僕はクレヨンと紙を差し出してみた。
A子さんは、その中からいきなり赤いクレヨンを選んで紙の真ん中に円を描き、真っ赤に塗りつぶした。そして、その周りに淡い水色の膜のようなものを描いた。
「色で表現すると結構激しい赤が出るね」と言うと、「そうですね。だって色だったら別にいいも悪いもないし、先生だって、この絵を見て別に嫌な気分じゃないでしょう?」
たしかに、色で感情を表現しても誰も傷つかない。

この赤と青の模様のような絵を眺めながら、僕とA子さんはいろんなお喋りをした。そんな中で、A子さんの意外な記憶が飛び出してきたのだった。(つづく) 

※カウンセリング内容は設定を変えてあります

(色彩心理学者 末永蒼生)

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