ハート&カラー Blogひろば » クレヨン先生こと末永蒼生の色彩日記 » 生き延びるためのクレヨン


生き延びるためのクレヨン

2008年07月01日掲 載

 「生き延びるためのクレヨン」

このリニューアル・ブログの第一弾にはなにか楽しい話を書きたいと思っていた。しかし、このところ気になっているのは5月12日、中国四川省で起きた大震災のニュースだ。死者は13年前の阪神淡路大震災の10倍をはるかに越えそうだ。2ヶ月近く経った今、被災者のニュースは目立たなくなったが、実際は生活再建が始まるこれからが最も大変な時期だろう。かつて、ボランティアで神戸に滞在した時、僕はまるで戦時下の焼け野が原に放り出されたようなショックを受けた。その記憶と中国の報道が重なる。

目を引く写真があった。四川省の幼い女の子が絵を描いている姿だ。その瞳には目前の現実を凝視している必死さと、どこか遠くを見ているような虚ろさが入り交じっているのだ。他の子が描いた絵に大きく書き込まれた「2:28」という地震発生時刻。多分、それは子どもの心の中の時間がショックで停止した時刻そのものでもあるのだろう。

現地の避難所にある「心理ケアステーション」では子どもたちに絵を描かせているという。そうやって絵を描くことで、わずかでも凍りついた心の時間が動き始めるのを祈らずにはおれない。9.11直後のニューヨークの子どもも、爆撃を受けたアフガンやイラクの子どもたちも絵を描いていた。被災した子どもたちが食料や毛布の次に必要とするもの、それは心が生き延びるために必要な心の糧なのだ。

“クレヨンは心のビタミン”。これはクレヨン箱を抱えて神戸の被災地を回った時の僕たちの合い言葉だった。
(色彩心理学者 末永蒼生)

 creyon.jpg



■前の投稿: 紫の気持ち・・・
■次の投稿: 色彩心理セミナー in コリア


ハート&カラーがおすすめする末永蒼生の書籍