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2015年6月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2015年06月03日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第17回 「 配色の意味⑤~青の濃淡の配色は“悲しい、寂しい心”を癒す」

Q:
最近、青い色が気に入っているようで、同じ青色の濃淡をグラデーションして海の色などを塗りたがります。色彩的にちょっと物足りないので、他の色も使ったらと思うのですが、このよう配色はどんな気持ちが反映しているのでしょう? そう言えば、私も子どもを産んでしばらく青い服ばかり着ていたことを思い出します。何だったのでしょう


A:

悲しみや不安を癒してくれる青の濃淡配色
前回は暖色同士の配色を取り上げましたが、今回は寒色同士の配色です。
青そのものが静かなイメージを与える印象がありますが、それがグラデーションとして配色されるとどんな感じでしょう?
青について私が調査した結果では、どちらかというと内向的な気分と関係していることが多いようです。悲しさや寂しさといった感情、真面目さや責任感なども青と繋がってよく表現されます。よく言えば慎重さ、落ち着きや考え深さなども青が表す心理です。

青のグラデーシンといえば、画家ピカソに「青の時代」として知られるシリーズがあります。ピカソが20歳から5~6年間、青色のグラデーションをベースに描き続けた作品群です。モチーフは病気で苦しむ人、障害を抱えた人、貧困にあえぐ人など、悲しみを漂わせた絵ばかりです。調べてみるとピカソが青に取り憑かれるようになったのは、親友が自殺をした頃からです。ショックを受けたピカソはパリから郷里のスペインに引きこもります。青に託した悲しみはピカソ自身の喪失感そのものだったのかもしれません。

ここに紹介する子どもの絵は9歳の男児のもので、阪神淡路大震災の直後、被災地で描かれました。滲むような青の濃淡で描かれた水、そこに浮かぶ一羽の鳥はいかにも寂しく不安そうです。孤独感を感じさせます。よほど不安だったのでしょう。男の子はローラーに青い絵の具をつけて何度も丁寧に塗っていました。そうしながら、心の中の不安を色に吸い取らせているかのようでした。

そういえば、ご質問にあった「産後、青い服が気に入っていた」というお話し。もしかしたら、母親になり育児という新しい体験の中で喜びと裏腹に無意識のうちにも不安も感じていたのかもしれませんね。「マタニティーブルー」という言葉があるように誰にでもあることです。子どもと向き合う中で絆も深まり解消されていったのではないかと思いますが、青い色はきっと落ち着きをもたらしてくれたのだと思います。最近、お子さんが青い色の配色を好むのも、何か新しい体験に立ち向かっているのかもしれません。

阪神青.jpg
9歳男児。1995年の阪神淡路大震災の直後、被災地で描かれた絵。青の濃淡の配色が持って行き場のない悲しみや不安を感じさせる。男の子は何度も色を塗り重ねながら気持ちを落ち着かせていった。


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