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2015年7月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2015年07月08日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第17回 配色の意味⑥
~無彩色の配色 「心の自立へ向かう時期」

Q:
思春期なのでしょうか。最近あまり自分のことを話さなくなったり、そうかと思うとちょっと反抗的な態度をとって自分を主張したり、これまでと様子が違います。ふと絵を見てみると、以前ほど彩りがなく地味な感じです。黒いマーカだけで絵を描いたり、白と黒の配色だったり。ちょっと暗い感じもしますが、何か本人の気分の変化が表われているのでしょうか?

そういえば、私も若い頃大人っぽいファッションに憧れて黒ばっかり身に着けていたことがあります。黒ファッションが流行っていたこともありますが……。

A:

モノトーンの配色は自分の世界を持ち始めた兆し

ある日、子どもの絵から明るい配色が消えると気になるものです。
でも、これは精神的な成長を示す場合もあります。色そのものは感情や欲求を表すことが多く、幼児の段階では多色の絵が目につきますね。これは、幼児期には人としての感情や欲求がどんどん育つ時期だからです。
ところが思春期にさしかかる頃、子どもは単純な感情表現ではなく自分独自の心の世界を確立しはじめます。これまで以上に自分のことを考えるようになります。
人間ってなんだろう? 性別ってなんだろう? 心の奥深くにはどんな欲求があるのだろう?……、というふうに心の深い部分を見つめるようになったりします。無邪気になんでも親に分かってもらいたいと感じていた段階から、むしろ親にも話せない心の内を感じたりする段階へと進むわけです。
つまり、「自我」を意識できる大人への第一歩なのでしょう。そんな時期には、素朴な色彩表現ではなくモノトーンの深みのある表現を好んだりすることがあるのです。

アトリエに通ってきていた8歳の女の子は、ある日、「白天使と黒天使」を並べて描きました。一瞬母親はびっくりしたようでしたが、子どもとはいえ心の中の光と闇を意識していることが分かり、我が子の精神的な成長を目の当りにしたようでした。こういう時、母親としては子育てがうまく出来たと考えていいでしょう。少しずつ親離れしていく心理的な準備が出来ているのですから。
もちろん、子どもの発達は螺旋状に進んでいきますから、時にはカラフルな絵を描いて子どもの心と大人の心の間を振り子のように揺れながら成長していきます。それを見守るのも親の楽しみですね。

ところで、大人の場合も彩りを抑えた配色に惹き付けられたり、黒っぽい配色の服が落ち着くときがあります。おそらく、感情をコントロールして何かに集中したい心理かもしれません。仕事に打ち込んでいる時や冷静に行動したい場合、モノトーンの配色は、きっと気分を鎮めてくれる効果を持つことでしょう。

白黒天使.jpg
8歳女子。日頃は母親の言いつけを守るいい子。
でも、最近、自我が育ち意見を強く言うようになった。
自分の中の「白い天使」と「黒い天使」の共存に気がつき始めたようだ。

 



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