末永蒼生の子育てQ&A

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末永蒼生より講演イベントのご案内

2016年02月03日掲 載

2月7日(日)午後2時~5時 in府中
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 講演とパネルディスカッション
 
    末永蒼生 山本シュウ

   「大人の関わりでこどもが変わる」

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★当日券もあります!!(事前申込:大人700円/当日券:大人千円)


節分の季節、冷たい空気の中にも微かに明るい日差しを感じるようになりましたが、皆様、いかがお過ごしですか。
今日は、「アートランド」を主宰する私自身がこの2月7日に行う講演会のご案内です。講演テーマは『大人の関わりで子どもが変わる』です。
主催は府中市を中心に子育てサポートや発達障害の親子などの支援活動をする「シャイニングスター」です。
「子どものアトリエ・アートランド」では、子どもたちが自由な創作を通してのびのびと育つ場を提供すると共に、何より養育者をサポートする子育てカウンセリングを行っています。
そして、子育てにおいての苦労や困ったことが、親自身が少し関わり方を変えてみるだけで、案外、楽に解決することを数多く見てきました。これは障害のあるなしに関わらず共通のヒントになります。今回はそのようなエピソードをお伝えすることで、皆様の日々の子育ての参考にしていただければと思っています。
集団生活が得意でない、発達の仕方が他の子と少し違っているようで戸惑っている、学校嫌い、学習力を伸ばすための苦労、友だち付き合いなど、日頃、気になっていることへのヒントになりそうなお話を映像を交えてお伝えします。
当日の司会進行は、ETV「バリバラ」の司会でおなじみの山本シュウさんで、会場を巻き込んでの楽しいトークになりそうです。

★託児アトリエあります!
お子さん連れの方は、子どものお絵描きコーナーでも託児ができますから安心です。期日が迫りましたが、ゆったりとした会場なので、ぜひこの機会にお出かけくださるようお待ちしています。

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★お申込はNPO法人シャイニングスターまで

2015年12月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2015年12月20日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第23回 「 配色の意味⑪ ~色の心と形の心 その3」

Q:
7歳の女の子です。最近描く絵が少し変わってきました。これまで動物や花などの形をそれぞれ描いていたのですが、一枚の画用紙にいろんなモチーフを並べたり構成したりします。こういう表現というのはどんな心の発達を示しているのでしょうか?


A:

●子どもがカタログを作る心とは?
とてもいい質問ですね。これまでは色の意味、また色と形の意味についてお話ししてきましたが、今回は絵の構図について興味深いお話しをしましょう。

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ここにある絵を見てください。やはり7歳のお絵描き大好きな女の子の絵でマーカーで描かれています。描く順番としては最初に升目を作り、その中に自分の好きなものを描いていきました。お花あり、動物あり、ケーキや日用品、キャラクターまでが並んでいて、子どもの関心のあるもの、何が好きかまでが分かってきます。まるで、その子どもの生活カタログのような楽しい絵になっていますね。
そう、子どもは7~8歳くらいになると、このような自分のためのアイテム一覧のような絵を描くことで、構図を意識し始めます。不思議と誰に教わるまでもなくその子の世界を網羅したオリジナルカタログのような絵を思いつくのです。
これはある能力が飛躍的に伸びていることを語っているのです。その能力というのは、身の周りの世界をバラバラの断片として眺めるのではなく、種類別に整理し自分の興味の優先順位に従って全体を理解する能力です。つまり、それまでの幼児的な世界、いわば主観的な世界から客観的な世界へと子どもの理解力が進んでいることをはっきり示しているのです。そして、それぞれのモノが自分にとってどういう意味があるかを捉え直していくのです。これこそ、子どもが世界を理解しながら、さらに好みや興味に合わせて自分らしい心の世界を構築していく発達段階に到達したということ。言い換えれば、自己中心の世界から、全体を見渡しながら新しい世界に入っていくという力が身に付いてきているわけです。この時期から子どもは構図を考えながら絵を描くようになります。素晴らしいと思いませんか。
このようにどの子も自分のためのビジュアル事典をつくる能力を備えているものです。男の子だったらそれが恐竜事典や乗り物事典であったり、女の子の場合、アクセサリー事典を思いついたりすることもあるでしょう。ここまでくると、私たちおとなが買い物のためにいろんなカタログを眺めたりするのと同じ選択力が育っていることが分かってきます。このような構成的な絵を描き始める時期は子どもによって個人差がありますが、さて、あなたのお子さんは、どんな“カタログお絵描き”を見せてくれるでしょう。楽しみに待っていてください。


★お知らせ
「末永蒼生の子育てQ&A 親と子のための色彩心理入門」、昨年度からご愛読ありがとうございました。ここで少しだけお休みを頂き、また2016年春から新しい連載企画を再開する予定です。ぜひご期待ください。

 

2015年11月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2015年11月17日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第22回 「 配色の意味⑩ ~色の心と形の心 その2」

Q:
前回のQ&Aを読んでみて、色が感情モード、形が思考モードを表現していることが分かり、子どもの絵の見方が広がりました。最近、上の11歳の男の子がどんな形を描くにしても必ず色彩を使いたがります。
このように形を色で表現する場合、感情と考える力はどのように関係しているのでしょうか?


A:

●思春期に育つ「知と情」のバランス
11歳といえば思春期ですね。この段階は心身ともに独特の発達過程にあります。欲求や感情が中心だった幼児期を経て言葉の力や考える力が育ち、やがてそのすべてが総合的に働く思春期に至ります。感情を言葉でとらえ表現する能力も育ちます。つまり思春期は第2の心の誕生ともいえます。
ですので、この年頃には自分を主張したり逆に自分の中に閉じこもることも起きます。一方、新しい自我が育っているので、その自我は感情と思考のバランスをとることを始めます。

ここに紹介する10歳の男の子の絵をご覧ください。

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「形を色で表現する場合、感情と考える力はどのように関係しているのでしょうか?」というご質問に答えるものでしょう。
三角錐の形を組み合わせるというみごとな遠近法の手法で無限の空間を描き出す思考力が発揮されています。知的な絵といってもいいでしょう。同時に、それらの形はカラフルに描かれています。まさに考える力と豊かな感情表現が並行して出来ているのです。この男の子の絵には、美しいとさえ言える知と情のバランスが感じられます。

子どもたちの脳は感情が豊かに育つときには色に敏感に反応し、考える面白さが分かってくると様々な形に興味を示すということを螺旋状に繰り返しながら成長します。いわば、感情と思考力を組み合わせる力を融合させようとするのが思春期なのです。これが順調に進むと、日々の生活や集団行動においても衝動や欲求をコントロールすることが出来、能動的な意欲と落ち着いた行動のバランス働くようになると思います。
このバランスは子どもだけでなく大人の場合も大切です。といっても大人はなかなか絵を描く時間がありませんが、日々選ぶ服を眺めることで気づくことがあるかもしれませんよ。今日のあなたは、色が目につきますか?それとも形のデザインが気になりますか?




2015年10月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2015年10月13日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第21回 「 配色の意味⑨~色の心と形の心」

Q:
3歳の男の子です。最近、形に目覚めたのか円形から始り顔らしいものなどを描いています。何だか円の上の方にぼそぼそした線が出ているので髪の毛にも見えてきました。でも色はあまり使いません。少し前には、形と関係なくやたら色んな色のクレヨンで殴り描きしていたのですが。子どもの絵の発達の中で、形や色はどんな風に変っていくのでしょうか?


A:

●色は感情を表し、形は考える心を表す
色と形についてのこのご質問は素晴らしいです。
人にとって色って何だろう? 形って何だろう?
なぜなら、この疑問に答えてくれるのが、じつは育ち盛りの子どもの絵だからです。

130227055.png 子どもは2~3歳で点や線などから始り絵らしきものを描き始めます。一見すると色も適当に選んでいるように思えますが、じつは色への好き嫌いはかなりはっきりしているようです。ただ、まとまった形をまだ描けないので、色もなんとなく手当たり次第に使っているように見えるのです。しかし、幼児の色使いを注意深く眺めていると、その日の喜怒哀楽や健康状態を表すような色を使っていることが分かってきます。赤を使う時、青にこだわる時を見てみると、感情の起伏などが関係していることが分かります。簡単にいうなら、活動的であれば赤系が目につきますし、穏やかで落ち着いている時には緑や青がよく使われるという傾向はたしかにあるのです。幼児段階であるなら、色は複雑な心理というよりも欲求や感情の変化と結びついているのです。


さて、では形はどうでしょう。
線を描き、それが形になり具体的な顔や身体を描くようになるという過程は世界中、どの子どもも似たような発達をします。その時、子どもの脳の中ではどんなことが起きているのでしょうか。

●考えることと形の表現
形を描くにはまず観察が必要になります。そして、その前提として観察対象の名前を意識しているわけです。言葉の理解、それが意味するモノの形、そして絵として再現するためのイメージ化の作業。これらの連携は脳の中で確実に「考える能力」が働いていることを示しています。
このように子どもの絵の発達の流れは、最初の色を中心にした感覚、欲求など感情モードの段階から、感じたことについて名前で理解し、観察し、表現する思考モードへと脳の働きが進んでいることを鮮やかに示しているというわけです。まさに、子どもの絵というものが成長を映し出す鏡であることが分かります。そんな目で眺めると、気ままに描いた絵を通して子どもの状態がどんどん伝わってきます。
時には、子どもがお絵描き遊びをしている傍らでママやパパも絵を描いてみませんか? その時思い浮かぶイメージは、思考モード? それとも感情モード? もしも日々の忙しさで疲れているようなら、思い切り色を使って感情モードを働かせてみてください。きっと、いいストレス発散にもなるかもしれませんよ。

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2015年9月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2015年09月09日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第20回 「 配色の意味⑧~色を使いたくない心理」

Q:
小6の女の子です。最近気になるのは、絵を描いてもあまり色を使わないことです。それが絵だけでなく、服の色も白っぽいものを好みます。思春期でもあるしもっとカラフルで可愛い色を着せたいとも思いますが、もう自分で何でも決めたがる年頃だし黙って見守っていた方がいいんでしょうね。
それにしても色を使いたがらない心理って何かあるんでしょうか


A:

●心機一転、成長のとき
絵を通して子どもの成長を観察していると、色が溢れる時とまったく色を使わない時とが交互に見られます。この周期を繰り返すんですね。それは何故でしょう?
色彩心理の研究では、色の表現は感情と結びついています。喜怒哀楽のいろんな気持ちがそれぞれの色として表われます。ですので、感情が発散される時ほど絵には多くの色が使われたりします。これは、洋服の色の好みにも影響するので、たくさんの配色を身に着けたい時には積極的に感情を表現しているわけです。もちろん、服だけでなくアクセサリーや小物に色を使いたい時も同じですね。
もしかして、お母様も日頃の服のカラーコーディネートを振り返ってみると、感情が解放されている時やエネルギーが高まっている時など彩り豊かな服が目に入ってきませんか?

一方、色を使いたくない時ってどんな気分なのでしょうか?
色が感情を反映するとしたら、逆に色を使いたくない時というのは、“感情の沈黙”ということが出来そうです。
感情が沈黙するとはどんなことでしょう。「頭の中が真っ白になった」という表現がありますが、人はあまりに強い感情的な衝撃を受けると混乱してしまいます。そうすると、脳は一時的に感情を鎮めようと働きます。たとえば、重い病気を診断された時や仕事のミスでパニックになった時、あるいは大事な人を失った時など感情がフリーズしてしまいます。
もちろんこのようなネガティヴな場面だけではありません。「心機一転」という言葉があるように、学校を卒業し社会に出る時やこれまでの人間関係を清算して新たな人生を踏み出す時です。つまり未知への第一歩ですから、心も“白い画用紙”のような状態なのです。
ご質問の小6のお子さんも間もなく中学進学ですね。きっと新しい自分に向かって新たな心構えが育ちつつあるのかもしれません。

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10歳女子
離れて暮らすお父さんにプレゼント。心機一転!新しい気持ちで送りました。

 

2015年8月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2015年08月10日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第19回 「 配色の意味⑦~多色と無彩色の配色は“希望と絶望”を語る」

Q:
10歳の女の子です。もともとカラフルな色使いの絵が好きだったのですが、このところ絵の中に時々黒っぽい色を塗り込めるようになりました。なんだか一枚の絵の中に昼と夜が描かれているような感じです。これには何か心理的なことが関係しているのでしょうか


A:

多色は前向きな希望、モノトーンは絶望感を象徴することもある
色はその一つひとつが喜怒哀楽の感情を反映していることが少なくありません。
たとえば、赤がやる気、黄色が楽しさ、青が悲しみといった具合に……。

絵の中に多くの色が同時に使われる時には、興味が外に向かい様々な感情が溢れ心が活性化していることが多いといえます。一方、白や黒などモノクロームはどちらかというと感情を抑え気味の時に好んで選ばれることが多いのです。
ですので、一枚の絵の中に多色表現とモノクロームが同時に表われるような構成の絵は、心躍るような快活な気分と感情が沈黙してしまった息苦しさが同時に共存している心理状態ということができます。喜びと悲しみ、希望と絶望といったような相反する気持ちが同時に湧きおこっているのかもしれませんね。

お子さんは年齢的に見ても、学校生活では楽しい反面、成績や受験といったことが少しずつ気になる年頃ですし、プレッシャーにも敏感になる時期なのではないでしょうか?
あるいは将来の進路への希望と同時に目的が達成できるかどうかという不安を抱えていることも少なくない年頃です。
場合によっては、親しい友人とクラス替えで離ればなれになったとか、家族で大切な存在を亡くしたなど喪失感がこのような色彩表現に表われるケースも実際にあります。

私がこれまでに見た子どもの絵で、多色とモノクロームを対比的に表現したもので忘れられないものがあります。
それはベトナムの子どもが描いた絵でした。
かつてベトナムではアメリカとの戦争で多くの犠牲が出ました。その戦争の記憶を子どもたちが描いた絵がホーチミン市の戦争博物館に展示されていました。その中に、画面を左右に分割するように多色とモノクロームが使われている絵があったのです。
この場合、多色は平和で幸せな世界を表しモノクロームは爆撃機の影が黒で描かれた戦争の世界でした。二つの世界の記憶を小さな胸に抱えた子どもの心が伝わって来るようで切ない気持ちになりました。子どもはどんな状況の中にあっても、その時々の思いを精一杯絵で伝えようとしているんだと思います。

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ベトナムの少女の絵。年齢氏名不詳。
右側には平和な世界に生きる幸福感が多色で、左側には爆撃機のシルエットが黒々とした色で表現されている。
心に希望と絶望が同居していることが感じられる。

 

2015年7月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2015年07月08日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第17回 配色の意味⑥
~無彩色の配色 「心の自立へ向かう時期」

Q:
思春期なのでしょうか。最近あまり自分のことを話さなくなったり、そうかと思うとちょっと反抗的な態度をとって自分を主張したり、これまでと様子が違います。ふと絵を見てみると、以前ほど彩りがなく地味な感じです。黒いマーカだけで絵を描いたり、白と黒の配色だったり。ちょっと暗い感じもしますが、何か本人の気分の変化が表われているのでしょうか?

そういえば、私も若い頃大人っぽいファッションに憧れて黒ばっかり身に着けていたことがあります。黒ファッションが流行っていたこともありますが……。

A:

モノトーンの配色は自分の世界を持ち始めた兆し

ある日、子どもの絵から明るい配色が消えると気になるものです。
でも、これは精神的な成長を示す場合もあります。色そのものは感情や欲求を表すことが多く、幼児の段階では多色の絵が目につきますね。これは、幼児期には人としての感情や欲求がどんどん育つ時期だからです。
ところが思春期にさしかかる頃、子どもは単純な感情表現ではなく自分独自の心の世界を確立しはじめます。これまで以上に自分のことを考えるようになります。
人間ってなんだろう? 性別ってなんだろう? 心の奥深くにはどんな欲求があるのだろう?……、というふうに心の深い部分を見つめるようになったりします。無邪気になんでも親に分かってもらいたいと感じていた段階から、むしろ親にも話せない心の内を感じたりする段階へと進むわけです。
つまり、「自我」を意識できる大人への第一歩なのでしょう。そんな時期には、素朴な色彩表現ではなくモノトーンの深みのある表現を好んだりすることがあるのです。

アトリエに通ってきていた8歳の女の子は、ある日、「白天使と黒天使」を並べて描きました。一瞬母親はびっくりしたようでしたが、子どもとはいえ心の中の光と闇を意識していることが分かり、我が子の精神的な成長を目の当りにしたようでした。こういう時、母親としては子育てがうまく出来たと考えていいでしょう。少しずつ親離れしていく心理的な準備が出来ているのですから。
もちろん、子どもの発達は螺旋状に進んでいきますから、時にはカラフルな絵を描いて子どもの心と大人の心の間を振り子のように揺れながら成長していきます。それを見守るのも親の楽しみですね。

ところで、大人の場合も彩りを抑えた配色に惹き付けられたり、黒っぽい配色の服が落ち着くときがあります。おそらく、感情をコントロールして何かに集中したい心理かもしれません。仕事に打ち込んでいる時や冷静に行動したい場合、モノトーンの配色は、きっと気分を鎮めてくれる効果を持つことでしょう。

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8歳女子。日頃は母親の言いつけを守るいい子。
でも、最近、自我が育ち意見を強く言うようになった。
自分の中の「白い天使」と「黒い天使」の共存に気がつき始めたようだ。

 

2015年6月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2015年06月03日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第17回 「 配色の意味⑤~青の濃淡の配色は“悲しい、寂しい心”を癒す」

Q:
最近、青い色が気に入っているようで、同じ青色の濃淡をグラデーションして海の色などを塗りたがります。色彩的にちょっと物足りないので、他の色も使ったらと思うのですが、このよう配色はどんな気持ちが反映しているのでしょう? そう言えば、私も子どもを産んでしばらく青い服ばかり着ていたことを思い出します。何だったのでしょう


A:

悲しみや不安を癒してくれる青の濃淡配色
前回は暖色同士の配色を取り上げましたが、今回は寒色同士の配色です。
青そのものが静かなイメージを与える印象がありますが、それがグラデーションとして配色されるとどんな感じでしょう?
青について私が調査した結果では、どちらかというと内向的な気分と関係していることが多いようです。悲しさや寂しさといった感情、真面目さや責任感なども青と繋がってよく表現されます。よく言えば慎重さ、落ち着きや考え深さなども青が表す心理です。

青のグラデーシンといえば、画家ピカソに「青の時代」として知られるシリーズがあります。ピカソが20歳から5~6年間、青色のグラデーションをベースに描き続けた作品群です。モチーフは病気で苦しむ人、障害を抱えた人、貧困にあえぐ人など、悲しみを漂わせた絵ばかりです。調べてみるとピカソが青に取り憑かれるようになったのは、親友が自殺をした頃からです。ショックを受けたピカソはパリから郷里のスペインに引きこもります。青に託した悲しみはピカソ自身の喪失感そのものだったのかもしれません。

ここに紹介する子どもの絵は9歳の男児のもので、阪神淡路大震災の直後、被災地で描かれました。滲むような青の濃淡で描かれた水、そこに浮かぶ一羽の鳥はいかにも寂しく不安そうです。孤独感を感じさせます。よほど不安だったのでしょう。男の子はローラーに青い絵の具をつけて何度も丁寧に塗っていました。そうしながら、心の中の不安を色に吸い取らせているかのようでした。

そういえば、ご質問にあった「産後、青い服が気に入っていた」というお話し。もしかしたら、母親になり育児という新しい体験の中で喜びと裏腹に無意識のうちにも不安も感じていたのかもしれませんね。「マタニティーブルー」という言葉があるように誰にでもあることです。子どもと向き合う中で絆も深まり解消されていったのではないかと思いますが、青い色はきっと落ち着きをもたらしてくれたのだと思います。最近、お子さんが青い色の配色を好むのも、何か新しい体験に立ち向かっているのかもしれません。

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9歳男児。1995年の阪神淡路大震災の直後、被災地で描かれた絵。青の濃淡の配色が持って行き場のない悲しみや不安を感じさせる。男の子は何度も色を塗り重ねながら気持ちを落ち着かせていった。

2015年5月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2015年05月01日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第16回 「 配色の意味④~赤とオレンジの配色は“お母さん、傍にいて!”」

Q:
5歳の女の子ですが、このところなぜかまとわりついて身体に触ったり、いろんな話しをしたがります。来年は小学校だし、いつまでも甘えん坊では困るなと思っています。絵の色使いを見ると暖色系の配色が目につきます。この2匹の金魚も赤とオレンジです。どんな心理なんでしょう


A:

赤とオレンジの配色が意味する「もっとコミュニケーションしたい」
これまで黄色と青、あるいは赤と青など、暖かい色と冷たい感じの色の対比的な配色の心についてはお伝えしてきました。今回は赤とオレンジという同じ暖色同士の配色ですね。この絵、2匹の金魚が向き合っているというイメージです。ここにはとても子どもの心がよく表現されているんですよ。
ご質問にもあるように急に甘えん坊になったような行動をとっているということですが、その理由がこの絵から感じ取られるのです。赤と青のように対比的な配色と違って、暖色同士の配色は誰かと心を一つにしたいという気分と関係があります。
こういう甘えん坊の時期は子どもの成長期に周期的に訪れるものです。たとえば、小学校前の少し不安な時、あるいはきょうだいが生まれて自分が注目されなかったりして寂しい時、体調が悪い時などです。誰かと親密なコミュニケーションをしたい、また誰かに傍にいて欲しいといった欲求のサインでもあるのです。
このようなサインを感じたら、とりあえず子どもに寄り添って安心させて上げる必要があります。というのは、このようなメンタルケアによって子どもの成長力は高まり自信が育ちます。その結果、ベタベタとまつわりつくことも少なくなりますよ。「いつまでも甘えるんじゃないの!」とたしなめるよりもはるかに効果的なメンタル作戦なのです。

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8歳女子。2匹の金魚は赤とオレンジの配色。暖かい色同士の組み合わせは、誰かともっとコミュニケーションしたい、傍にいて欲しいというサインなのです。




2015年4月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2015年04月02日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第15回 「 配色の意味③~子どもの向上心の表れ、赤と青の心」

Q:
最近、子どものクレヨン箱を覗いてみてあることに気づきました。
他の色に比べ赤と青が減っているのです。そう思って見てみると、絵には赤と青ばかりが目立ちます。いったいどんな心理なのでしょう

A:

●「やりたい、でもちょっと我慢」の心理
面白いことにきょうだいがいる子どもの絵を見ると赤と青の配色を好む傾向があるんですよ。電車をこの2色で配色して塗ったり、女の子だと服の色に赤と青が見られます。
もう一つは、集団生活が始まると、どの子どももこの配色を使いたがります。
それには理由があります。色彩と心理の関係を調べてみると赤を使うときは気分が高まっているときが多いようです。一方、気分が落ち着いているときには青が多く見られます。いわば、赤は外向的な心理、青は内向的な心理といえそうです。するとこの2色が配色されている気分というのは、感情の高ぶりと同時に沈静した気分が同居しているということなのです。

●「苦しいけど頑張ろう」
きょうだいとの関係や集団での友達とのつきあいでは、気持ちを主張する場面もあれば、少し自分を抑えなければならない時もあります。子どもなりに「やりたい、でもちょっと我慢もしなきゃ」、あるいは「苦しいけど頑張ろう」という心理状態ですね。
この二つの気分を自分なりにバランスをとるわけですが、それがそのまま絵を描くときの「赤と青」という配色バランスに出てしまうのでしょう。
じつはこの心理は大人の世界でも色として見られます。たとえばボクシングなどの格闘技のリンクは赤コーナーと青コーナーの配色になっていますね。このようなはっきりした配色は相手に対する嫉妬心や競争心でもあるわけですが決して悪いことではありません。子どもの場合も、このエネルギーは上手に励ましていくとお稽古ごとや勉強の場面で向上心につながると思います。

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8歳男子。赤と青の大胆な配色、荒々しいタッチは激しい感情を表しています。もともとのびのびとしたマイペースの性格で、学校での集団生活では感情を抑えなければならない場面も多い時期でした。ベースにしっかり塗られた青色がその“我慢”の気分を感じさせます。

2015年3月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2015年03月06日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第14回 「 配色の意味②~子どもにも悩みがある。黄色と青の心」

Q:
小学校に入ったばかりの6歳の男の子です。
このところ不登校ぎみで、これからが思いやられます。
なぜか今ある配色がお気に入りです。それは黄色と青の配色です。
何か心理的な意味があるのでしょうか?

A:

よくお気づきになりましたね。
まず黄色、青それぞれの色の意味を知ることは配色が何を語っているか分かってきます。
黄色は外に向かって欲求が広がっていることを示します。たとえば、幼児であれば「抱っこして」とか「こっち向いて」などの欲求。少し大きくなれば「ちゃんと話しを聞いて」とか。新しいことへの好奇心の発達とも関係あります。
一方、青はものごとに集中したり考えたりという落ち着いた気分の時によく使われます。感情を鎮めようとする色といってもいいでしょう。黄色と青を使っている時は、幼児的な欲求とそれを抑えようとする二つの心が働いている時といえるでしょう。
「これまでのように家で遊んでいたい、でも学校にも行かなきゃ」という子どもなりの葛藤を体験しているのではないでしょうか。でも、これは悪いことではありません。このような気持ちの振り子を繰り返しながら自分をコントロールする力を身に着けていくからです。
ただし、学校嫌いには他に心理的な理由があることもあります。次の例を参考にしてみてください。
ある6歳の男の子が水彩絵の具で画用紙いっぱいに黄色と青の配色を表現しました。やはり、不登校の状況でした。この絵はその心理的な葛藤を語っていたのです。すぐ下に3歳の妹がいて母親はその子にかかりきり。「僕がいない間も、妹はママに甘えていられていいな。でも僕は我慢して学校に行くのは嫌だな」という気分だったのでしょう。
この男の子の場合、母親が絵から気持ちを感じ取り、いつも以上に男の子に関心を向けるようにすることで次第に不登校は解消していきました。何か心配事があると登園や登校に消極的になります。そんな時、ちょっと子どもの絵を覗いてみてください。子どもの絵の配色は大切なヒントに満ちています。

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6歳男子。黄色と青の大胆な配色は、母親の傍にいたいという欲求と学校に行かなきゃという気持ちとの対比をみごとに語っている。この色によるメッセージを母親が埋めとめ、不登校は解消していった。

2015年2月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2015年02月05日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第13回 「 配色の意味①~色を組み合わせる心」

Q:
女の子です。最近、色の組み合わせに興味が出てきたようで、洋服の配色にこだわるようになりました。女の子だから、おしゃれ感覚が育ってきたのでしょうか?

A:

たしかに女の子は早くから配色を楽しむようになります。
でも、これは必ずしも女の子の先天的な性質とはかぎりません。
日頃から母親の服のカラーコーディネートに刺激を受けたりしているからでしょう。さて、今回からは配色が表す心の成長についてのお話しです。
赤や青がそれぞれ特有の感情を表現していることは分かっていただいたと思いますが、配色、つまり色と色との組み合わせは“感情と感情の組み合わせ”を意味するといっていいでしょう。たとえば、「いま、自分は遊びたいけど、先にお母さんのお手伝いをした方がいいようだ」とか「お気に入りのオモチャを使いたいけど、友だちに借してあげよう」とか、二つ以上の感情をコントロールする能力が出てくると、絵の中には配色表現が多く見られるようになるものです。
子どもの絵が発展する順番を観察していると、だいた4~5歳ころから色と色の組み合わせを好む傾向がグンと増えます。ちょうど幼稚園や保育園での集団生活に馴染んだころですね。友だち遊びに慣れるにつれ、自分の感情をぶつけるだけでなく、相手の気持ちを考えながら行動することが出来るようになります。つまり、友達との関係をコーディネートする意識が育つと、絵の中にも自然にカラーコーディネート感覚が発揮されるというわけです。
こうやって子どもの絵を眺めると、何気ない色使いも心の成長と深く繋がっていることが分かってきますよ。

手形1.jpg
4歳男子。手形の配色。4~5歳頃から配色に興味を持ち始める。複数の色の組み合わせは複数の感情表現そのもの。複雑な思考回路が育ちはじめていることが感じられる。

 

2014年12月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2014年12月02日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第12回 「 虹色、多色 の心理」

Q:
子どもがクレヨン箱に入っている色を全部使いたがります。
乗り物でも動物でも関係なくたくさんの色を塗り込むのです。あまりに多くの色を使いたがるので、色彩感覚が気になります。何か、心理的な問題があるのでしょうか?
A:

子どもが絵の中で使う色彩には大きく二つの意味合いがあります。
一つは、太陽を赤や黄色に塗ったり、海を青く塗ったりというように、そのものの色を忠実に描写する場合。
もう一つは「心理的な色」の表現です。たとえば、太陽を黒く塗ったり、海を赤く塗ったりすることがあります。大人の目には異様に見えますが、これは子どもが物の色を理解していないのではなく、心理的な色を表現しているのです。
たとえば、ご質問にある「たくさんの色を塗りたがるとき」は、様々な感情が一挙に溢れていたりイメージが無数に湧きだしているなど、心が揺さぶられている状態が多いようです。何かに大きく心動かされている、あるいは感動する心が育っていると考えていいでしょう。
大人の場合も、お祭りでは色とりどりの衣装を着飾ったり、お祝いのイベントなどではカラフルな紙吹雪を使ったりします。夏の花火大会などで打ち上げられる多色の光にどよめくのも、まさに感情が湧き立つ表現といえるでしょう。

阪神_赤
赤い海の絵。阪神淡路大震災の直後、5歳の男の子が描いた。青いはずの海が真っ赤に塗られ、ショックが反映している。心理的な色の表現といえる

阪神_虹
虹の表現。阪神淡路大震災から4ヶ月、やっと落ち着いた生活が戻り、いつもの様々な感情が解放されたことが多色で表現されている。

 

2014年11月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2014年10月30日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第11回 「     ひかりものが好き」

Q:
最近、娘がひかりものを欲しがります。ラメ入りのコーティングがされたペンやノートなどが大好きです。下の弟は、銀色の色紙でヒコーキを折ったり、工作で作ったロボットに金色を塗りたがります。
ひかりものは子どもだけでなく大人も好きですが、どんな気分なのでしょう?


A:

色数の多いクレヨンや色鉛筆には金色、銀色が入っていて子どもは好きです。アトリエ教室でも、ラメなどのひかりものは人気画材!
こういうひかりものに興味が出てくるのには2つの理由があります。
一つは、キラキラ輝くものは目立つので心が弾み、子どもたちは楽しくなり興奮します。
もう一つの理由は、色の意味が分かって使いたくなるのです。
金や銀の象徴的な意味が分かってくるのは、5~6歳くらいからでしょう。本物の金や銀の価値を知り、その象徴としてクレヨンなどの金色や銀色を特別に感じるのです。
これは、じつは子どもの心の中に知的理解力が育っているということなのです。金や銀を使い始めたら、子どもの社会性が芽生えているということかもしれません。つまり、社会的な約束事が分かって初めて、金、銀の意味を楽しめるというわけです。
絵の中で、大切なものに金色を塗ったり、ねん土で作ったアクセサリーにラメなどを貼り付けたりするようになります。
こういう気持ちは、そのまま大人の心理にも通じるのではないでしょうか。
光り輝くものは、気分を高め元気にしてくれます。大いに楽しみましょう!。

キラキラ模様
キラキラ模様(年長女児)
3本の剣
3本の剣(小1男児)

2014年10月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2014年09月30日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第10回 「  ~知的モードへのスイッチ~」

Q:
7歳の男の子です。最近、絵といえばボールペンや黒いマーカーで、迷路や地図のようなものばかり描きたがります。また2歳上の兄の方は好きな恐竜の写し絵などに熱中しています。兄弟そろってひたすら黒の世界に入り込んでいるかのようです。このまま色を使わないのかなと、少し心配なのですが。


A:
子どもは成長過程であまり色を使わない時期があります。
でもよく考えてみると、「黒」も立派な色なのです。
色彩学では、むしろ全ての色を混ぜ合わせた色が「黒」なのです。ということは、「黒」にこだわる時の人間心理はじつは様々な思いをそこに込めていると考えることもできるでしょう。
黒っぽい絵を描くときには、気持ちを閉ざして感情が出ないということもあります。一方、冷静かつ知的にものごとを判断したりする場合も黒はぴったりの色なのです。
大人の女性の装いでも、黒を中心にまとめるととても大人っぽい雰囲気になるのも秘めた気持ちや落ち着きを感じさせるからかもしれません。
子どもであっても、黒い色を好むときは大人びた知的モードに入っていることがあるのです。迷路や地図に熱中したり好きなマンガやアニメを正確に写したりするとき、子どもの脳は緻密で深い思考モードに入り、それを表現する喜びに浸っているといえます。
このような体験は、子どもの観察力、思考力、判断力が育つ上で大きな力になりますし、何よりのレッスンなのです。
前回の「白」の心理でも思考モードとの関係について説明しましたが、同じモノクロでも「黒」はさらに能動的な心理であるといえます。
「黒」にこだわり始めたら、いよいよ脳が知的な回路を獲得し始めたのだと考え、思い切りやらせてあげてください。

10才恐竜
10歳男子。好きな恐竜のみごとな形を表現するために黒一色の線画で仕上げた。
この子は、自分のことはすべて自分で考え判断できる青年に育っていった。


2014年9月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2014年08月30日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第9回 「  ~思考力が働くとき~」

Q:
5歳です。粘土細工がすきで白い紙粘土で遊んでいます。絵を描いてもあまり色を使いません。
「色を塗ったら?」と声をかけますが興味を示しません。
色彩感覚が育ってないのでしょうか? 色の名前を教えたりした方がいいのでしょうか?

A:
このような質問は講演会などの参加者からもよく受けます。「色を使わない」あるいは「偏った色しか使わない」という心配です。
子どもが絵を描く力にはいろんな種類があり、その発達は一人一人違います。この違いは、子ども一人一人の脳の神経回路の成長の順番が違うからです。たとえば、半年くらい粘土細工に熱中していた子どもが、ある日、突然素晴らしい色使いの絵を描いたりします。粘土の感触が刺激になり、連動して色彩感覚が目覚めたりするのです。ですから、色を使わない、形にならない‥‥という時期があっても心配ありません。
むしろ、色を使わない時期には物事の形について考えていたり、粘土などの触感が育っていたりする時期だったりします。
色彩心理の考え方からいいますと、色を使わず「白」にこだわる時は、幼児的な感情モードから思考モードへと進む場合もあります。成長の節目だと思って見守ってみましょう。幼稚園や学校の美術で教えられる模範的な色使いは気にする必要はありません。
「色の名前を教えた方がいいのでしょうか?」というご質問。これも本人が興味を持ちそうならいいですね。ただ、“教える”のではなく、親御さん自身が日常生活の中で、「この色の名前はね‥‥」などと自然に話題にすると興味が深まります。じつは、子どもの心に染み込むことは、親が楽しんでいる事柄なのです。親御さん自身、カラーコーディネートなど暮らしの色を一緒に楽しんでみるのもいいでしょう。


13才男子   ねん土細工「不思議な生き物」
想像上の生き物。形の面白さにこだわる時、色を使わず造形に集中することで、ユニークな形を発見するようだ。

 

2014年8月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2014年07月30日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第8回 「  ~癒しとバランスの色~」

Q:
幼稚園に通っていますが、顔を描く時に紫を使って先生に注意されたようです。それ以来、あまり絵を描かなくなりました。紫という色には何か心理的な問題があるのでしょうか?

A:
子ども紫色や黒などばかり使っていると、何か性格に問題があるのではないかという質問を受けることがあります。
紫は赤と青を含む複雑な色ですが、必ずしも精神的に問題があるとは限りません。むしろ、紫を使うということは、それだけ子どもが複雑な色彩を理解できるようになったことを示しているのです。
赤が活気をイメージさせるとしたら青は静かな印象を与えます。この両方の気分を抱くということは、その子どもが心理的にも幅が広がったわけです。
年齢的には何でも自分でやりたがったり、親に反発してみたり、成長してきたことを表しています。
色を心理的なイメージとして見ると、赤は活発な動き、いわば交感神経の働きを感じさせますし、青は落ち着いた時の副交感神経の働きを感じます。その両方を合わせた紫色は神経のバランスをとろうとするともいえます。興奮を鎮めたい時、逆に元気を出したい時に、紫は気持ちのいい色なのでしょう。
ちなみに、神社仏閣などには、昔から紫色の幕がよく使われています。きっと陽と陰の両極のバランスを保つ癒しの象徴、聖なる色として定着してきたのかもしれません(実際、昔は植物の紫根で紫色を染め出し、薬効があったのです)。
そのような知識がない子どもが、無意識のうちに紫を使うというのは不思議です。いずれにしても、子どもが選ぶ色には善悪はありません。自分に必要な色を本能的に使うことで、自然に色彩セラピーをしていると思って見守ってあげましょう。もちろん、大人にも有効だと思います。

学校で友達と同じペースで進むことが出来ずに悩んでいたが、マイペースでやっていこうと思えた頃に描かれた絵。

2014年7月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2014年07月04日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第7回 「  ~集中する心~」

Q:
小学校に入った男の子です。描く絵に青色が増えてきました。乗り物を描いても家の絵を描いても空一面を真っ青なクレヨンで塗りつぶしてしまいます。最近は服の色も青色を好みます。何か心理的な意味があるのでしょうか?

A:
お子さんの使う色に関心を持っておられるのはとても素晴らしいことです。子どもの気分の変化に気づくことに繋がりますから。
6~7歳で青色を好むということには心理的な理由と環境的な理由が考えられます。まず心理面ですが、勉強で机に向かうことも増え一人で集中する時間も多くなります。こういう時期は、青という色が気分的にも親和性があるのです。ちなみに色彩心理の調査では、一般的な傾向ですが赤やオレンジなどの暖色系の色は外へと興味が広がる「外向的」な気分を表すことが多く、それに対して青などの寒色系は「内向的」な心理を反映することが多いようです。
さて、青を好むもう一つの理由。それは集団生活との関係です。小学校になると男女が分かれて活動することも増え、互いに性別を自覚しやすくなります。そういう場面では、従来からの青=男の色、赤やピンク=女の子の色といった記号的な色の使い方を意識するようになりがちです。公衆トイレの男女の色分けサインのように社会的記号として覚えたことなので、後天的なものです。
小学生ともなると社会的な記号を理解するので、男の子であれば「青」を “自分の色”として選ぶということになるのです。
ただし、このような記号的な色使いしか出来なくなると自分が本当に好きな色を使いこなす能力は低下します。プライベートな場面では性別にかかわらず色を自由に楽しんでもいいという雰囲気が必要でしょう。男女ともに素敵な色彩センスでお洒落を楽しむ大人になって欲しいもの。特に男の子には自分の服も選べないような、色彩に無頓着なオヤジにはなってもらいたくないものです。

ピンク 
子どもの自由な感性が育つ時期、色に性別は関係ない。男の子でも、たっぷりとピンク色を味わい、豊かな色彩感覚を身につけていく。(「子どものアトリエ・アートランド」にて)

2014年6月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2014年06月03日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第6回 「 緑色 ~穏やかな心~」

Q:
緑色の亀の絵をよく描きます。緑色の亀を飼っているからか、それとも男の子って動物が好きなせいか。緑色にはどんな心理的な意味があるのか教えてください。ちなみに私は新緑の季節が大好きです。緑色を眺めていると本当に爽やかな気分になります。

A:
木々の緑色は心を和ませ、寛がせてくれますね。なぜそんな気分にさせてくれるのでしょうか。
緑色は中間色と呼ばれるように、2つの色みで出来ています。たとえば、水彩絵の具では黄色と青を混ぜ合わせると緑色が出来ますね。ということは、黄色の要素と青の要素が含まれているのが緑色なのです。黄色といえば明るく活気がある感じ。青といえばどこか静かで落ち着いた感じがあります。この両方の中間にあってバランスのいい状態をイメージさせるのが緑色といえるのです。
さて、ご質問の男の子が描いた緑色の亀ですが、亀というモチーフのイメージも含め、きっとゆったりしたバランス感覚のあるお子さんなのではないでしょうか。時には親御さんがイライラするくらいのんびり屋さんかもしれません。
じつは私たちのアトリエ教室にも亀が大好きな男の子が通ってきていましたが、文字通り亀のようにとことんのんびりした性格でした。またこの子の両親は他の子どもと比較したりせかしたりということを一切しない育て方をしていました。ゆっくり育つということはリラックスできる育ち方をしているということで成長の原動力になるんです。大器晩成という言葉もあるように、小学高学年ころには、絵はもちろん勉強にも力を発揮する状態にみごとに成長しました。
急がば回れ!これが子どもが健康で穏やかな性格に育つ秘訣かもしれません。子どもの心に常に緑の風が吹くようであって欲しいものですね。

 11歳男の子緑の亀
11歳男子。7歳頃から亀が大好きでお得意の亀シリーズの一枚。のんびりタイプだが何でもじっくり取り組むのでこの頃には学力も向上!

2014年5月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2014年05月01日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第5回 「 オレンジ色 ~輝きたい~」

Q:
女の子です。幼稚園に入ってから絵の中にオレンジ色がよく出てくるようになりました。
絵だけでなく、服の色もオレンジ色を好みます。何か心境の変化があるのでしょうか?

A:
子どもの色の好みが変化したことに気づいたことはとてもいいことです。
絵は言葉以上に気持ちを表現していることがあります。色の好みに気をつけていると子どもの気分がよく分かるものです。
オレンジ色は、赤と黄色の中間の色ですね。ということは、赤の気分と黄色の気分との両方の気持ちがそこにはあるのかもしれません。
赤は強く激しい感情に関係しています。一方、黄色は好奇心や欲求など外の世界への関心の高さを表すことがあります。ということは、オレンジ色は好奇心や欲求がかなり高まっているということなのです。
最近、お子さんはものごとに積極的な行動を示しているのではないでしょうか? 
幼稚園での集団生活と共に新しい体験が増え、自分を表現することを刺激されているのでしょう。やはり集団の中では「自分を輝かせたい!」という気持ちも育ってきますから。
この時期は、家の中でもこれまで以上に言動が強くなってくることもあります。時に持て余すこともあるでしょう。でも、これは自己主張をする練習の時期だと考えたらいいのです。集団生活には協調する能力と自分を堂々と伝える能力のバランスが必要だからです。
この成長を助ける意味でも、しばらくはお家でも子どもの自己アピールを受け止めてあげるといですね。
大人の場合も新しい環境に入っていく時には、オレンジ色など明るい色を装いに加えることで勇気が出るものです。

4歳女子の絵
右側の手が羽根のように大きく広がりオレンジ色で塗られています。
この時期、父親が病気で入院。母親もその看病で忙しく、寂しい日々でした。
羽根のような両手は、「お母さんのところに飛んでいきたい」というようにも見えます。大きなオレンジ色の羽根は「もっと私をかまって!」という欲求を伝えているかのようです。(末永蒼生著 講談社『答えは子どもの絵の中に』より)


2014年4月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2014年04月08日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第4回 「  ~希望の心~」

Q:
幼稚園年長ですが、太陽を黄色に塗るのが好きです。
他の子どもの絵を見ると太陽を赤く塗るこも多いのですが、なぜ黄色にこだわるのでしょう?
ちなみに母親である私自身も最近は黄色が目につき、スカーフなどに使っています。
顔色が明るく見えるからいいかなと思うのですが

A:
黄色は赤、青とともに3原色の一つで大切な色です。

大雑把にいえば、この3色で人間の心は出来ているといってもいいくらいです。そういえば、交通信号も3原色です。信号の場合、赤は止まれ、黄色は注意、青は進めですね。これは人間の気分とよく合っていると思います。
心理的にも赤は興奮や緊張、黄色は気分の切り替え、青は安心といってもいいでしょう。
黄色の「気分の切り替え」は、いろんな感情を伴います。光を思わせる黄色は新しい期待や希望のイメージにも繋がります。
実際、子どもが黄色い色を好む時には、前向きの気持ちになっていることが多いようです。たとえば、東日本大震災の後、復興に向かう中で画用紙いっぱいに両手を広げた女の子を黄色で描いた女児がいました。不安の中にも明日への希望を抱きしめていたのかもしれません。
大人であっても、何か新しいことに気持ちが向かうときには黄色が力になってくれます。黄色を身につけると明るく見えるというのは、色の反射だけでなく黄色が気分を切り替えてくれる心理効果が表情を活気づけるのかもしれません。
子どもが太陽の色に黄色を選ぶのも、好奇心いっぱい、期待いっぱいの育ち盛りの表れとみることもできるでしょう。

kiiro.jpg
東日本被災地で小学生の女の子が描いた絵。
画面いっぱいに手を広げた姿と黄色い服が前向きの気持ちを感じさせてくれる。

2014年3月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2014年03月10日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第3回 「ピンク ~愛の心~」

Q:
6歳の女の子です。
ピンク色が好きで服選びの時もピンクには目がありません。
性別と色の好みは関係あるのでしょうか?
大人の場合はどうでしょう??

A:
人間の色の好みを生み出す要素は2つありそうです。

一つは純粋な個人的な好み。味覚と同じで性別や年齢などは関係ありません。
もう一つは社会的な影響。
日本では青は「男の色」、赤やピンクは「女の色」という使い分けをしますね。生まれた時のベビー服から始まって街の公衆トイレのマークに至るまで色が性別の印になってしまっていますね。

ちなみに色彩心理の調査ではピンク色を使う場合、一般に「解放感、幸福感、優しさ」といった心理的な傾向があります。日本では、子どものころから男の子はしっかり、女の子は優しくということが期待されがちですから、ピンク色と女の子が結びつくのでしょう。
こういう男女のイメージは国によって異なるので人為的なものです。実際、幼児が自由に描いた絵を調べると、色の好みに男女差はほとんどありません。ということはもともと感情や性格にも男女差はないといってもいいかもしれません。優しい男の子もいれば、しっかり者の女の子もいて当たり前ですから。

おそらく子ども自身が「男の子の色」「女の子の色」を気にするようになるのは5歳前後から小学校にかけて集団生活をするようになってからだと思います。
子どもの中に社会性が育ってきたといえます。この時期に大切なことは、集団の中での「色」と個人的に絵を描く場合の「色」は使い分けていいことを伝えることです。というのは、性別にかかわらず使う色数のバリエーションが多い子どもほど、心理的には感情のコントロールがいいという傾向があるのです。最近は大人の男性でもピンクのシャツを着たり、髪を染めたりします。
人間関係に悩む人が多い時代、色を通してリラックスしたりコミュニケーションを楽しむことはとても素敵なことではないでしょうか。

pink.jpg 


ピンク色で描かれた可愛い女の子の絵。

でも意外にも描いたのは8歳の男の子。
クラスに好きな女の子がいて優しい気分になった頃の絵。
そんな時、男の子でもピンクを使いたくなる

 

2014年2月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2014年02月17日掲 載

親と子のための色彩心理入門
第2回 「子どもが育つ、大人を元気にする

Q:
4歳の子ですが、赤が大好き。男の子なのに手袋も靴も赤を欲しがります。他の色をあまり使わないのですが大丈夫でしょうか? じつは、私自身も赤が好きで服など必ず赤を配色します。大人の場合はどんな意味があるのでしょう?

A:
子どもの色の好みを調べてみると、性別に関係なく幼児期ほど赤を好む傾向があります。

赤を選ぶ頻度の高い子どもは基本的に健康状態が良好で、行動や気持ちの表現に積極的であるという傾向が見られます。
つまり心身ともに伸びやかであれば赤を好むことが多いのです。

もちろんその日の体調や気分によって、青や黄色など他の色も使いますが、赤を選ぶ時には体の中から湧き出るエネルギーを思い切り発散しているとみていいでしょう。「落ち着きがなくうるさいな」と感じるくらいの子どもの方が健康という意味では安心だと思います。
やがて小学校での集団生活を始めると、子どもの色の好みにも自然に幅が出てきて、精神的な成長が分かります。「子どものアトリエ・アートランド」では、子どもの絵の色使いの変化から成長の様子を養育者の方にお伝えしたり、能力を引き出すお手伝いをしています。

Q&A201402.jpg


(左)3歳の男の子が描いた絵。
赤という色が、意欲や能力を示すことがよく分かる。

両手を大きく広げ赤い一色で描かれた子どもの姿は本人そのもの。
何ごとにも意欲的で、この後、絵や工作、学習などに驚くほどの才能を伸ばしていった。


ところで、大人の場合、赤を使う心理とはどんなものでしょうか?
色彩心理の研究では、やはり意欲や活力が高まっている時には、赤を選ぶ頻度が高いようです。赤いヘアバンドや帽子は前向きの気持ち、赤い靴などは行動力を示します。いわば、交感神経にスイッチが入っているということです。逆に、気分が沈んでいる時に、アクセサリーなど小物に赤の差し色を使うと、気力を高める効果があるものです。

時々、ご自身の色のチョイスや子どもが使う色を振り返ってみてください。
お互いの心の動きが見えるかもしれません。色を通してのコミュニケーション、楽しいですよ。

 

2014年1月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2014年01月16日掲 載

今年は「親と子のための色彩心理入門シリーズ」です。
子どもがお絵描きで使う色の意味だけでなく、親の生活にも欠かせない色彩の上手な活用法をお伝えします。

第1回 「健康に役立つ色のお話」

Q:
子どもといえばお絵描き。でも気になるのは子どもの色使いです。いろんな色の意味を知りたいです。
また、色の効果は大人の場合はどうなのでしょう?

A:
子どもは幼児期から色選びにこだわります。それは色彩感覚が育ち、脳の中で色に対する神経回路が伸びている時期だからです。では、色彩能力は子どもの成長にどんな効果をもたらすのでしょうか?

そもそも人間が色を感じ取る能力を持って生まれる事実は、視覚を通して色彩、つまり光を感じ取ることによって生体を維持しているということです。正常な視覚を持っている場合、網膜には赤、緑、青紫の3種類の光を受け取る視細胞があり、健康維持に役立っています。実際、太陽に当たることが少ない生活では自律神経の働きが低下しウツっぽくなったり病気になったりすると言われています。色彩感覚が豊かに育つということは、この光に反応して自律神経がよく働くということです。
素晴らしいことに、子どもは本能的に色彩感覚を育てる遊びが好きです。外で遊びたがることも多いですし、家の中でも色に敏感に反応します。それがお絵描きなのです。クレヨンの箱の中から好きな色を選ぶことは、色彩感覚と脳を刺激するための訓練でもあり、これが生涯に渡り役立つのです。
じつは、色の健康効果は大人の場合も同じです。食べるもの、着るもの、そして住まいの中の色は、知らず知らず心や体の調子に影響します。お母さんやお父さんも身近な色を積極的に楽しむことは気分を調整し、心の健康に役立ちます。

次回からは、色一つ一つについて様々なヒントをお伝えしていきます。

写真

2013年12月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2013年12月11日掲 載

Q ティッシュペーパーやトイレットペーパー、時には粘着ペーパーなど、手当たり次第、破ったりクシャクシャにして遊んでしまいます。モノを無駄にするのは良くないので止めさせるのですが、このまま遊ばせていいのでしょうか?

A:
●子どもの発達を育む画材の効果 その7 <パート2> 
 紙をクシャクシャにして遊ぶ指先運動は、子どもの成長に必要です。
 前回に引続き、「新聞紙の画材効果」についてのお話

●新聞紙遊びで皮膚感覚が育つ
新聞紙は触感を刺激し、皮膚感覚を育ててくれる素晴らしい“画材”になります。小さな子どもの成長にとって大切なのは五感の発達です。中でも触感を通して世界を理解していきます。柔らかい、硬い、冷たい、温かい……。この触感がじつは心を育てているのです。実際、大人になっても、「柔らかい心」「温かい心」という表現をするように触感は、心と直接につながっています。
何より皮膚感覚の敏感さは、生きていくための大切なセンサーなのです。いい人間関係を築いたり、逆に危険を察知したりできるのも皮膚感覚の大切な役割です。
それだけに、子ども時代に触感体験は欠かせません。でも、あまりに便利に、あまりに清潔になり過ぎた現代社会では、子どもが色々な物に触って育つ機会が不足しています。ドロ遊び、砂遊び、水遊び、木登りなどで触感を確かめることも少なくなりました。そこで登場するのが、新聞紙!

●指先を使ってストレス解消や脳トレにも
適度な硬さ、ザラザラ感、折ったり、破ったり、丸めたりしながら、手触りを十分に楽しめます。それだけでもストレス解消の効果が抜群です。しかも安全!
アトリエのクラスでも、新聞紙があると子どもは我を忘れます。家でも古新聞を好きなだけ使わせてあげましょう。触るだけでなく、切ったり貼ったり指先をフルに使うので能トレ効果も期待できそうです。
段ボールプール
  ダンボールプールでストレス発散!

2013年11月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2013年11月12日掲 載

Q 幼児期から広告紙の裏に絵を描かせていたら、最近は新聞紙にまでクレヨンで落書きするようになりました。時には新しい新聞まで画用紙代わりにしてしまい困ります。日頃からちゃんとした画用紙に描かせるようにした方がいいのでしょうか?

A:
●子どもの発達を育む画材の効果 
  その7 「子どもの知的な表現力を育てる新聞紙」

●能力を高める魔法の紙
新しい新聞紙に落書きは困りますが、古新聞は子どもの能力を引き出す魔法の紙なのです。どんどん使わせましょう。なぜ能力が育つのかという理由ですが、それは新聞の紙面には文字、写真、イラスト、漫画、広告などがいっぱいで、子どもは絵を描きながらこれだけの情報を目にしているのです。文字を眺めているうちに次第に意味も分かるようになりますし、写真と併せて見るうちに文章の内容にも想像力が働くようになります。
初めは単に画用紙代わりに使っていても、知らず知らずのうちにこれらの情報が脳にインプットされていくでしょう。つまり、新聞という媒体は右脳と左脳、さらに前頭葉を刺激してくれるものなのです。

●ぬり絵として使ってみよう!
お絵描きという意味でも新聞紙はもっと他の利用価値があります。それは新聞の文字や写真などに、ちょうどぬり絵のように色を塗っていくのです。まず4コマ漫画はそのままぬり絵として遊べます。大きな文字にも色を塗ると文字デザインとして楽しめますし、書き取りの勉強にもなりますね。写真に色を付けると、自分流のカラー写真になるし、何より形の書き方の練習にもなるでしょう。
どうせ資源ゴミとして捨てるなら、気楽に絵を描ける新聞紙を画材としてリサイクルしてみてください。一挙両得といえるでしょう。
shinbun.JPG
   新聞紙に色を塗ったり絵を描いてみよう!

2013年10月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2013年10月11日掲 載

Q 折り紙が大好きで、何か紙さえあれば熱中してしまい食事も忘れてしまうほどです。もう少しお絵描きもやってくれるといいんだけど、折り紙だけやらせていいんでしょうか?

A:
●子どもの発達を育む画材の効果 
  その6 「折り紙が生み出す意外な能力」
じつは、身近にある画材で子どもに与える効果が絶大なのが紙です。子どもが使う紙画材と言っても、折り紙や画用紙だけではありません。新聞紙、広告紙、ティッシュペーパーに至るまで、身の回りのある紙すべてが子どもの画材に変身するのです。
なぜ、紙画材が子どもの成長に役立つのか? その最大の理由は、紙の触感です。
たとえば、日本人の素晴らしい発明、折り紙。4~5歳になるとかなり複雑な折り方もできるようになります。ヒコーキやツル、花。男の子なら手裏剣なども大好き。
子どもが折り紙に熱中する理由は何でしょう。まず指先を動かすことによる刺激で脳の働きが活性化します。実際、折り紙遊びが脳の働きを刺激することは高齢者の認知症予防でもよく知られています。脳の神経回路が育つ時期の子どもが手先を使いたくてウズウズするのも分かります。折り紙に大真面目に取り組んでいる子どもの瞳はキラキラしていますよ。
「アートランド」の教室で子どもを観察していると、この折り紙体験が次にどのような能力を育てるか分かってきます。折り紙体験を積んだ子どもは、絵を描く能力が一気に伸びるのです。どうしてでしょう?
折り紙は一枚の平面の紙から形を折り出し、立ち上がらせるという作業を行います。その体験が期せずして形や立体を絵で表現する遠近法の感覚を養うというわけです。子どもが折り紙に熱中する時期は、この脳の発達と関係あるといってもいいでしょう。お家に折り紙セットがあると、ゲームだけでは得られない力が育つはずです。
origami.jpg
指先を動かすことによる刺激で脳の働きが活性化します。

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2013年9月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2013年09月11日掲 載

Q なぜ子どもは段ボール遊びが大好きなのでしょう?
段ボール箱に入ってお家ごっこしたり、切って工作したり、子供部屋は散らかし放題!片付けが大変ですが、ダンボール遊びって子どもの成長に必要なんでしょうか?

A:
●子どもの発達を育む画材の効果 その5 「段ボールセラピーのお話」
「子どものアトリエ」では段ボールは必須画材です。なぜなら、子どもの育ち盛りには五感がフル回転します。段ボールの色合いや工作をする時の手触りが五感を刺激するという意味でその効果は抜群なのです。
さらに子どもの心を幸せにするメンタル効果も見逃せません。段ボール箱を乗り物や家に見立てて遊ぶ時、子どもの顔にはまるで抱っこされている時のような笑顔が浮かびます。お母さんのおなかに居た頃の幸福感が蘇るようです。子どもの発達に一番必要なのはなんだと思いますか?それは「安心安全の心理」です。そこが満たされて初めて、情緒的に安定し知能の発達も進みます。逆に、慢性的に不安を抱えている子どもは、体重が増えない、知的能力が停滞するという現象が起きるとさえ言われています。それが、段ボール一つで改善されるかもしれません。
アトリエでも暴れん坊の子どもが段ボール遊びをしているうちに、いつの間にか物事に集中できるようになったりします。“段ボールセラピー”ですね。このため、私たち「アートランド」では、必要に応じてアトリエ内に段ボールコーナーを用意します。
ご家庭でも段ボールをゴミに出す前に、子どもの画材としてリサイクル活用してください。段ボールは子育ての助っ人になってくれるはずですよ。

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2013年8月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2013年08月09日掲 載

Q 鉛筆やボールペンなど、黒い線ばかりで絵を描きたがります。もっと色を使って欲しいのですが、どう声をかけたらいいのでしょうか?

A:
●子どもの発達を育む画材の効果 その4「鉛筆、ボールペン」
黒い線だけで絵を描くことにも意味があるんです。これは、幼児の場合と小学生ではその対応が変わってきます。

●色彩感覚を伸ばす方法
まず幼児の場合ですが、黒いサインペンや鉛筆だけでは、色彩感覚が育たないのではという心配をする親御さんもいます。じつは、幼児であっても色彩感覚は充分育っています。ただ、色数が少ない画材だけだと色に関心を持たないまま育つことがあります。少なくとも、20色くらいのクレヨンなどを与えてみると、色使いが豊かになるものです。
それでも色を使いたがらないとしたら、色使いに関して自信が持てないのでしょう。この場合、絵にこだわらず水彩絵の具遊びや色ねん土遊びをさせてみるのもいいでしょう。あるいは、服の色、食べ物の色など身の周りの色を話題にしたりすると、色に目覚めることもあります。

●色を使わない時に伸びている能力
一方、小学生になって鉛筆や細書きの黒マーカーだけで迷路やゲーム、漫画やアニメの絵を描きたがる時期があります。この場合、じつは新たな能力が育っている可能性があるのです。どういうことかと言うと、観察力や思考力の芽生えなのです。色彩表現には感情的な要素が影響しますが、感情をコントロールして思考を巡らせる時には、むしろ色彩は邪魔になるのです。
こういう時には、思い切りモノクロームの世界を堪能させてあげるといいでしょう。脳の中では思考回路がどんどん発達しているのですから。

 

 8才の男の子が描いた
細密な迷路の絵
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トレース台の上に写したい原画をのせ、その上にトレーシングペーパーを置きます。
下から光があたることによって、より写し絵がしやすくなります。


2013年7月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2013年07月10日掲 載

Q 水彩絵の具は家の中で使われると部屋が汚れるのであまりやらせたくありません。でも、子どもの発達に何か意味があるのであれば教えてください。

A:
●子どもの発達を育む画材の効果 その3「水彩絵の具」
子どもの絵の研究が進み、じつは水彩絵の具は何より「触感画材」としての効果があることが分かってきています。一言でいえば、大切な子どもの触感を育てる画材ということです。たかが画材の話しなんですが、画材をどう体験させるかということが単に絵の能力を高めるだけではなく、時には子どもの感情や性格形成にまで影響するということなんです。
もともと幼稚園でも小学校でも美術の時間は、子どもの情緒的な側面を豊かに育てることが目的でした。水彩絵の具の使い方を身につける最初のレッスンは、まず素手で触れ、指で絵を描くことから始めます。その理由は肌を通して水彩絵の具の感触を知り、絵の具の柔らかさ、硬さ、色と色の混じり具合を体で会得していきます。この体験によって、筆先だけで色を使うのとは比較にならないほど、水彩絵の具の性質をマスターします。

●水彩絵の具は、子どもを幸せにする
指で絵を描いている時の子どもたちは本当に幸せそうな表情をしているものです。さらにスキンシップ効果も手伝って気持ちが落ち着きますし、絵に対する向上心もどんどん高まります。このようなメンタルと能力の一石二鳥の効果があるので、今では多くの幼稚園や保育園で「フィンガーペインティング=指絵」が積極的に取入れられています。実際、「子どものアトリエ・アートランド」でも水彩絵の具を思い切り体験した子どもほど、親御さんの子育てが楽になっていきます。
お家でも、お子さんがご機嫌斜めの時には言葉でなだめる代わりに、水彩絵の具を出してあげてください。ビニールシートさえ敷けば部屋は汚れません。きっと、いい笑顔が戻ってくることでしょう。

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水彩絵の具は何より「触感画材」
としての効果がある!

★ オススメ画材情報 ★
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末永蒼生監修
 H&Cオリジナル水彩絵の具セット 税込
9,800円
 長年の色彩心理の研究から考案された水彩絵の具セット。
 それぞれの色のもつ効果や意味が解説されています。
お買い求めは、ハート&カラーのオンラインショップから>> 

2013年6月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2013年06月10日掲 載

Q : 子育てに役立つ画材の効果シリーズですね。前回はねん土でしたが、どこの家庭でも見かけるのはクレヨンです。クレヨンにはどんな効果があるのでしょうか?

A:
●子どもの発達を育む画材の効果 その2「クレヨン」
クレヨンであれば幼児であっても手に握りやすく、すぐに絵らしいものを描きます。鮮やかな色が表現でき、線画でも塗りつぶしも自由自在。小さい子どもでもくっきり描けるという利点があるのです。初めてクレヨンを握った子どもにとっては、手を動かせば色が点になり線になるという体験は驚きと感動に満ちていることでしょう。多分、数万年前に初めて土を使って洞窟などに絵を描いた古代の人類と同じ感動かもしれません。
子どもたちは自由にさせれば、お絵描き大好き! それは一言でいうなら「アウトプット」の快感があるからです。

●感情をアウトプットする効果
心の内側に生まれる喜怒哀楽の感情、いわば脳の中で起きている興奮を外に排出したいという欲求が満たされると快感を生み出します。じつはこの「アウトプット」の能力が子どもの心の成長を助けるんですよ。つまり人の脳は、喜怒哀楽の感情や考えというものを外に排出したり発信したりすることで、心理的なバランスを図っているからです。心の表現ができる回路がしっかり育った子どもはコミュニケーションの力が身につきます。その結果、集団行動でも積極的に振る舞えるようになるもの。
その最初のレッスン、それがクレヨンという手軽な画材を通して自然に出来ていくのです。一見、何気ない落書きに見える子どものお絵描き遊びですが、この効果を放っておく手はありませんね。一家に一箱、クレヨンです!

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クレヨンは、子どもの自己表現における
画材の原点

★オススメ画材情報★

水性クレヨン
カランダッシュ ネオカラーⅡ(30色)
         
税込 6,300円

ハート&カラーのオンラインショップでお買い求めいただくと、「画材の心理効果解説書」が付いています。
http://heart-color.shop-pro.jp/



 

2013年5月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2013年05月13日掲 載

Q : 「子どものアトリエ」には豊富な画材が揃っていますね。子どもの発達とどんな関係があるのでしょうか?

A :
子どもの発達を育む画材の効果 その1「ねん土」
みなさんのご家庭には、どんな画材が置いてありますか。意外な“画材の効果”をお伝えしましょう。

まず最初に「ねん土」。ねん土の効用が分かると、きっと明日からご家庭に常備したくなるはずですよ。
子どもの成長には順番があり、それが分かるだけで子育ては楽になります。乳幼児期に育つのは、生理的な部分、特に皮膚感覚。人間が外界と交流するときのセンサーはまず触感から始まると言われています。親に抱かれて安心をしたり、皮膚感覚を通して危険を察知したりします。
つまり乳幼児期に適切な刺激によって触感が育つことは、子どものその後の成長を支えることになるのです。皮膚に必要な刺激が与えられていると、身体面では消化力、呼吸機能など自律神経が順調に働き健康です。一方、心理的な面でも、不安から起きる夜泣き、夜尿、愛着障害、言語能力の停滞などが起きにくくなるようです。実際、スキンシップをたっぷり受けている子どもほど成長の遅滞が起きにくいことが報告されているのです。

「ねん土」は子育てのサポーター
「子どものアトリエ」ではねん土が大人気!なぜなら子どもたちは、ねん土いじりを通して本能的に触感を満たそうとしているからです。小さい子どもほど何かと親にまとわりついたりしますね。これは単に甘えているというより、脳が触感というセンサーを育てようとして行動させているのです。でも、親にしてみると体を使ってつき合うのはなかなか大変!
さあ、ここで登場するのが「ねん土」です。最近は扱いやすくあまり汚れない、それでいてうっとりするほど感触のいいねん土が市販されています。
アトリエの子どもたちの場合、ぐずらなくなった、指しゃぶりが減った、夜よく眠るようになった、機嫌よくなった、アトピーなど皮膚のトラブルによるストレスが減少したなど、子どもの状態が好転するのです。
「ねん土」は子育ての心強いサポーター。ぜひ、ご家庭でも試してみてください。

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ねん土は小さな子から大きな子、おとなでも触感を充分に楽しめる画材です。



 

2013年4月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2013年04月09日掲 載

Q : アトリエで何の制限もなく手遊びや色水遊びをやらせるのはなぜですか?

A :
皮膚の刺激で子どもは成長する!
親であれば、自分の子どもが心身共に健やかに成長することを望むものです。じつは、気立てがよく、頭の働きがいい子に育つ秘訣は身近なところにあったのです。 マイアミ大学の研究はマッサージなどのタッチケアが子どもの成長に驚くほど効果があることを明らかにしています。未熟児で生まれた子どもにマッサージを施すことで、そうでない子どもよりも体重の増加力が高かったのです。日本の研究でもADHD(注意欠陥・多動障害)とされた落ち着きのない6歳の子どもが周囲の心のこもったタッチケアを受けることで1年後にすっかり症状がなくなったという例があります。(『子どもの「脳」は肌にある』山口創 光文社新書より)もちろん、どんな子どもの成長にもタッチケアは大きな効果があります。

アトリエで触感画材を体験してもらう2つの理由
触感を通して心身の成長力を促すために、アトリエで提供しているのが豊富な触感画材です。でも、もう一つ大切な理由があります。 それは知的能力の活性化。粘土いじりや水彩絵の具の触感を十分に体験した子どもたちほど学習意欲を高める傾向があることが、アトリエでの観察で分かりました。これは、手先の触感を通して脳の回路がしっかり成長していくことを示しています。 

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粘土での創作は、形にならなくても知的能力の活性化につながります。

家庭でできる効果的なタッチケア
幼児期であれば、できるだけ体の接触を通してのボディコミュニケーションを大切にすることです。子どもはなにかと膝に乗ってきたりべたべたしてきますが、これは単に甘えているだけではありません。自律神経の働きや脳の発達が皮膚刺激を必要としているからです。これが満たされることで子どもは心身ともに健やかに育ち、心理的にも自信が身に付きます。極論と受け取られそうですが、日頃から全身を使う遊びを通して触感を満足させることは、特別に学習塾にお金をかけるよりも効果的なのです。実際、アトリエでは、そのようにして育つことで希望の進学に成功する例が無数にあるのです。これは躾けの面でも意味があります。家庭での会話でも軽く体に触れながら話すと、子どもは落ち着いて親の話に耳を傾けてくれるものだからです。 


0409b.jpg 幼児期は全身を使って遊び触感を満足させることが必要な時期。
こんな風に自分に絵の具をぬることもその一つです。


 

 

2013年3月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2013年03月07日掲 載

Q : ショックや不安を感じた時に、なぜ絵を描くことで解消できるのでしょうか?

A :
不安な時ほど、絵を描くことでホッとする
3月11日の東日本大地震から2年目ですね。当時は東京の子どもたちも大きなショックを受けたようです。テレビ報道の映像や周囲の大人の不安げな様子は子どもたちに影響します。「アートランド」青山本部でもクラスを開きましたが、絵を描くなど創作をすることで、子どもたちが穏やかな気分を取り戻す様子が見られました。

絵にはセラピー効果があるというお話
絵を描くことでなぜトラウマが和らいだり心が安定したりするのでしょうか?それは、脳にインプットされた苦しい情報を外にアウトプットしてしまう効果があるからです。つまり、パソコンや携帯で不要になった情報を削除することと似ています。子どもが絵を描いている時には、興奮がどんどんアウトプットされています。不快な感情が発散され削除されているのです。いわば心のお掃除。もちろん、この効果は子どもだけではなく、大人でも同じですよ。ぜひお家でもぬり絵やお絵描きタイムを楽しんでストレスを削除してくださいね。

★誰でも出来る心のケア、元気になるお絵描きセラピーの方法
(1)上手下手は関係なし、テーマは自由。好きなモチーフや色で楽しもう。
(2)画材はクレヨン、色えんぴつなど好きなものを自由に使おう。
(3)水が使えそうなら水彩絵の具や粘土など手遊びが出来る画材は、スキンシップ効果があり心の安定に役立つ。
(4)もしも怖そうなイメージや濁った色、年齢不相応な表現をしても、心配ありません。ため込んだ不安や驚きを“削除”しているのですから。

情報提供
3月5日から11日まで青山・伊藤忠アートスクウェアで東日本の被災地で絵を描きながら元気になっていった子どもの絵の展覧会を開催中。9日(土)午後にはトークショーや「アートランド」スタッフによるぬり絵コーナーも。お子さんと一緒にどうぞ。
くわしくはこちら

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3.11東日本大震災2周年を記念して、被災地の子どもたちが描いた絵が画集になりました。
「クレヨンネット」のボランティアが行ったアートセラピーを通して、子どもたちが表現した“心の記憶”です。
購入は、ハート&カラー・オンラインショップあるいはアマゾンから。収益は被災地でのアートセラピーに役立てられます。

2013年2月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2013年02月08日掲 載

Q : 最近、スポーツ現場での事件をきっかけに、体罰について考えさせられます。でも、子どもに理屈が通じない時には、体で覚えさせる必要もあるのでしょうか?

A :
アトリエには年齢も性格も様々な子どもたちが集まり自由に過ごしています。でも、カウンセラーが頭ごなしに叱りつけるような事は起きません。子どもを伸ばす時に、一方的な叱責や体罰は一切必要ないからです。

体罰、親の心理と子どもの心理
体罰を受けたとき、子どもが感じるのはの身体的な痛み以上に恐怖心と親への嫌悪感でしょう。といって、自分より強い立場の人間から発せられる乱暴な言葉や暴力には従うほかないわけです。「あなたのためを思って!」などと言われたら尚更のこと。でも、恐怖ゆえに模範的な行動をとるような子に育つとしたら、自尊感情が希薄なロボット人間になりかねないと思います。さらに自分で善悪の判断が出来なくなる。少なくとも心理的な二面性を強化しかねない。
一方、親の心理としては、体罰には一つ間違うと虐待の芽が潜んでいます。どちらも親の基準に子どもを従わせたいという支配欲求が潜んでいるから。そこには、「いい親」であらねばという重責からくる強迫観念もあるかもしれない。

子どもたちは親の言葉ではなく、言動を見つめている
子どもが見習うのは親の言葉ではなく日頃の親の姿。そこで子どもが親に対するリスペクトを感じていなければ、どんな言葉も体罰も逆効果。むしろ、体罰を受けた憤りは体に染み込み、他者へ暴力を向けたり自分を傷つけたりすることさえ起きます。もちろん、子どもというのは手に負えないことが少なくないですよ。でも、そんな時こそ心を込めて諭し大きな器を見せる。それこそが“親力”なのではないかなと思います。 
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8歳男子。父親からの厳しい体罰が絶えなかった。その憂さ晴らしをするかのように小学校では暴力を振るい度々問題を起こしていた。空に浮かぶ雲の形がゲンコツのようにも見える。

 

 

2013年1月新年号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2013年01月11日掲 載

Q : 自分の子どもとは思えないほど、性格や癖が違う。宿題も片付けもきちんと出来ない。なんとか躾けようとするんですが、困っています。

A :
子や家族って不思議ですね。性格や喋り方、食べ物の好みがそっくりかと思うと、それぞれ心の中には別世界を持っていて、分かり合えないこともあります。でも、それが案外家族の良さかもしれません。

父親の色、母親の色を混色して新しい色の子どもが育つ
子どもは両親の異なった遺伝子の組み合わせで、まったく別の人格として生まれてきます。色に置き換えてみると、たとえば父親が青、母親が黄色とするなら、子どもはその両親の色を混ぜた緑かもしれません。家族が増える毎に2色、3色と増えていくわけです。
子どもの絵を見ても性格の違いが感じられます。上の子は神経質なくらい細い線で丁寧に描き込んでしまう。ところが、次の子は枠からはみ出さんばかりに激しく大胆に色を塗りたくったりする。


違った個性の色だから、家族は美しい布になる
親子や家族は一人ひとりがそれぞれ異なった色の糸のようなもの。子どもが親に反発したり夫婦の意見が対立したりすると、つい自分の考えを押しつけ、同じ色に染めようとしたくなったりするものです。でも、家族が一枚の織物なら、できるだけ多くの異なった色の個性を上手に織り込むことによって家族という名の彩り豊かなテキスタイルが生まれるでしょう。そんな風に考えてみると、性格の違い、好みの違い、発想の違いもなかなか味わい深いものに感じられてきます。異なった色と性質の糸が集まることで、その家族は強くてしなやか、一段と美しい作品になることでしょう。
新しい年、「子どものアトリエ・アートランド」も個性豊かな色を持った子どもたちと共にさらに美しい布を織っていきたいと思っています。
 201301blog.jpg  絵:末永蒼生


 

 

 

2012年12月号 【末永蒼生の子育てQ&A】

2012年12月10日掲 載

Q : 「子どものアトリエ」では何でも自由にさせてくれますが、好きなことばかりさせていたら躾けはできないし集団生活はできないのではないでしょうか?

A :
個性も集団生活の能力も伸ばす秘訣とは?
自由な心も集団行動の能力もバランスよく伸ばす秘訣、それは子どもの欲求の発達段階を知ることです。集団行動やコミュニケーションが得意な子どもの共通点というのがあるんです。それは、幼児期のある段階において大切な「欲求」を充電されているかどうかということです。その「欲求」というのは基本的な衣食住が保証されていることはもちろんですが、何より親子関係や家族の中で「どんな自分も受け入れて欲しいという「心理的な欲求」です。

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ダンボールに潜り込んだり絵の具遊びをしたり‥‥。自由な表現遊びで心満たされると、子どもは自分の心を粗末にしなくなる。


受け入れてもらった体験が思いやりの心を育てる
では、なぜその体験が躾けや集団生活の能力と関係あるのでしょうか。
集団生活の基本は何より他の人への思いやりです。その心を育てるにはどうしたらいいのでしょう?「子どものアトリエ」では、ダンボールのお家ごっこや、時には全身絵の具だらけのボディペインティングなど、どんなことも自由に表現できる環境を用意しています。じつは、それには心理的な理由があるのです。つまり、子ども時代に“心そのもの”を受け入れてもらったという喜びの体験をたくさんしてほしいからです。その結果、アトリエに長く通っている子どもほど他の子に親切ですし、教室内でのトラブルはありません。
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心を表現する喜びを知った子どもは、他の子どもの心も大切にする。その結果、コミュニケーションの力が伸びる。


躾けに効果的なポジティブメッセージとは?
この方法はまず親子関係の中で実践するとすぐに身に付きます。たとえば、「こんなことしたらママ、怒るよ!」と大きな声をあげるネガティブキャンペーンより「あなたがこうしてくれたら、ママ、どんなに嬉しいか」というポジティブメッセージを送ったら子どもはすぐに納得です。子どもって大人が考える以上に親思いなんです。
「子どものアトリエ」のカウンセラーの基本は2つ。人に迷惑でない限り「自由な表現」を保証する。そして、どんな表現も「Yes!」と受け入れる。子どもたちは思いやりの大切さやコミュニケーションの方法を身をもって学習する力があると思います。思いやりを受けた子どもは、きっと「思いやりのお裾分け」をするようになることでしょう。


末永蒼生の子育てQ&Aはじまります

2012年11月12日掲 載

「アートランド」代表の末永蒼生です。今月から新しいブログをスタートさせます。題して「末永蒼生の子育てQ&A」。実際にアトリエ教室で、カウンセラーと保護者との間で交わされるQ&Aが元になっています。
子どもの絵というのは、児童心理を理解するという点で、とても興味深いものです。子どもの心に関する情報が読み取れるからです。
ここでは、子どもが何気なく描いている色や形がどんな心理や感情を意味しているのかを読み解いていきます。それに、子どもの絵の見方が分かると、上手な声かけができるようになり、子どもはどんどん絵を描く力が育ちます。そして、絵を描く子どもは心が健やかに育ちます。毎回のテーマを読んでいただいて、ぜひ、子育てのヒントにしてください。


2012年11月号
【今月の末永蒼生の子育てQ&A】

Q : 絵が好きな子どもはなぜ伸びるの?

A :
お絵描きは脳の発達の基礎レッスン
子どもはなぜあれほどお絵描きに熱中するのでしょう?それは、色を塗る、形を描くということが脳をぐんぐん発達させているからです。というのは、あの落書きにしか見えない子どもの絵の中に、これから育つ様々な知能の芽が潜んでいるのです。実際、円い形や線を書いているうちに、文字らしいものが浮かんできたりしませんか。人類は文字を発明する前から絵を描いていました。象形文字という言葉があるように、絵から文字が発展していったのです。ですので、子どもも幼児期からお絵描きしながら、文字の準備を始めているわけです。左右反対の鏡文字や創作文字を書き始めたら、文字や言葉への関心が育ちはじめているサインなのです。そう思うと、子どものお絵描きを眺めるのもワクワクしてきますね。

2012-a.jpg 幼児は絵を描きながら、いつの間にか文字らしいものを書き出す。
 絵をたくさん描く子どもほど、文字や言葉の能力が発達する。
絵を通して学習能力と表現力が育つ
絵を描くことのメリットの一つは、脳の記録回路と出力回路を根付かせるということです。子どもの成長に即して考えると、学習したことをしっかり記憶し、また表現する力に繋がります。「アートランド」のクラスで長年育った子どもたちの多くは、それほど進学や受験に関しては神経質ではありません。しかし、長じて学習活動に優れていくのは、絵や創作の楽しみを通して、考えたり工夫したり、表現したりする力が育つと共に、集中力も身に付くからだと思われます。スラスラと絵を描くように勉強をこなしていくのです。
2012-b.jpg 自由に絵を描くことで、脳の活動が刺激される。  いわば絵は最高の“脳トレ”でもある。理解する、考える、 表現するの三位一体の脳活動が盛んになり、絵を眺めると、子どもの心の動きや成長過程が手にとるように分かる。
子どもの絵が分かると、わが子の育て方も分かる
子どもの絵のすごいところは、その成長過程や心の変化が無意識のうちに絵に表れるのです。黄色をたくさん遣う日、青にこだわる日……、それぞれ意味があり、色の変化を眺めているだけで感情のリズムが感じられます。絵の見方が分かってくると、親御さんたちにも子どものニーズや伸びかけている能力の芽が見えてきます。すると適切なサポートが出来、さらに成長するのです。子育てはキャッチボールのようなものかもしれません。絵を通して子どもの心のボールが見えると、楽しい子育てができるでしょう。次回からは、絵の見方について述べていきましょう。