[VOL33.2007.1月 アート&セラピーコース後期スタート]
2007年01月24日
『人はなぜ絵を描くのか、私たちは今どこにいるのか』
アート&セラピーコース・後期 初回授業を終えて・・
「人はなぜ絵を描くのか?」皆さんは考えてみたことありますか?何故といわれても、日頃そんなことを意識することはあまりないと思います。でも、生まれて間もない赤ちゃんも数万年前の古代人も、人間は誰に教えられたわけでもないのに絵を描きます。また画家はその作品が売れても売れなくても自分のために描き続けます。「絵を描く」というこの行為は人類にとって、また自分自身にとってどんな意味があるのでしょうか……?あらためて、その謎について考えさせられるテーマでした。
授業では、講師の末永蒼生が選んだアルタミラの洞穴壁画など古代の絵から、ピカソなど現代の美術作品までの20点の中から参加者に1作品を選んでもらい、それぞれが作品から受けた印象を自分なりのイメージで表現するワークショップから始まりました。参加者が表現した作品は、同じ絵からインスピレーションを得て描いたとは思えないほど印象の違うものもあれば、とても近い印象を受ける絵まで様々でバリエーション豊かな作品ばかりでした。このワークショップは、「同じ物を見ていても、人と違う感想を持つ」という個々の人間の感じ方の違いを実際ビジュアルとして見ることができる大変面白い試みになりました。この違いこそ、“人はなぜ絵を描くのか”という問いへの答えだったのかもしれません。この後のレクチャーでは、人間が絵を描く動機や理由を、表現欲求、生活記録、時代性、宗教性、心理的な欲求など多面的に捉える話が続き、参加者の興味を深めたようです。
さて、ここで参加者の作品の中から印象深い作品をご紹介しましょう。
① モネ「印象・日の出」

② Iさん作品「パワー」 ③ Eさん作品「次のはばたきへの休息」
右上2点の作品は、モネ作「印象・日の出」を元に描かれた作品。ご覧のとおりまったく違う印象の作品が出来上がりました。出来た作品からつけたタイトルからも対極的といっていいようなものが伝わってきます。

④ Aさん作品 ⑤ 星野作品
一方、こちらも同じ原画をもとに描いた作品ですが、この2つはとても印象が似ているように感じませんか?実は右は私の作品、実際にお話をしてみても、「しなかやさ」「躍動感」「虹」など共通のキーワードを思い浮かべていたようで、この作品を描きながらとても近い感想を持った事が分りました。一枚の絵を通して「言葉を越えた感覚」を共有できたようで、私はとても不思議な気分になりました。
ここでご紹介させて頂いたのはごく一部の作品ですが、一枚として同じ絵はなく、人の心の数だけそれぞれの捉え方があるのだとあらためて実感します。そして、私にとっては「描く」ということは、感情をより強く、瑞々しく躍動させるプロセスであり、自分でも気付かないような心の深い部分と対話することのように感じました。そして、今回のレクチャーを通じて、私自身が幼い頃から絵を描き続けている理由が少し分った気がしました。
風変わりで、集団行動になじめず、イジメにもあった子ども時代……。振りかえると私の支えは「描く」ことでした。描いているときは心が自然と落ち着き、私はこれでいいんだと思うことが出来ました。
今考えれば、それは小さな社会の中での違いに悩み、自信を失いかけていた心に、「絵」が私の鏡となって自信をとりもどさせてくれたのだと思います。
そして、これからもアートは私を支え育てていってくれる人生のパートナーであり続けるのだと思います。
自分の心が見えなくなったとき、皆さんも絵を描いてみてはいかがですか?上手い、下手は関係ありません。きっとその中から何か感じることができるかも知れません。
レポート:星野 薫
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