死と再生の「隙間」、大いなる青―めぐりあう時間たち
作家ヴァージニア・ウルフが執筆する『ダロウェイ夫人』と、それに関与する3人の女性の一日が交錯して、世代を超えて展開されるストーリー。
めぐりあうことのない3人の女性の時間には、「生と死」というテーマが一貫して流れています。『ダロウェイ夫人』を愛読する主婦ローラは、黄色い家に、黄色い花束を抱えて帰ってくる夫と息子と住んでいます。夫の夢と理想の象徴のようなこの家に住み、理想的な妻を演じることに、ローラは疲れ果てていました。それでも自分を励まして、夫の誕生日に息子とケーキを作ります。彼女の抑えている気持ちをそっくり塗りこめてしまったような、真っ青なケーキ。このケーキを作りながら、ローラは死を決意するのです。しかし自殺は未遂に終わり、黄色いアイシングを飾った青いケーキで夫の誕生日を祝います。この時、ローラは自分が生きるために、家族を捨てることを決意。青という色に引きこまれる時、人はもしかしたら人生の呼吸の隙間、精神的な死と再生の瞬間に遭遇しているのかもしれません。
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