天色と共鳴する心  
 


自分の世界へ向かう色。抑制と集中の心理。


ユング派の心理学者ルッツは、青のもつ象徴性を「冷静、自足」と述べていますが、これは天色が表す心理状態を、かなり言いえていると思います。天色は寒色系の代表的な色ですが、興奮を静めるような作用があります。おそらく、天色が喚起する「海」や「水」、また「天空」などのイメージとも重なるのでしょう。親元からの自立や転職など、自分の足で一歩を踏み出す時、あるいは内省的になったり孤独を感じたりする時に、人は天色に魅かれる傾向があります。
この絵を描いた人は、新しい恋愛に踏み出したいのに、様々な事情で自己抑制している「切ない」気持ちを、天色に投影させたようです。  

 

 
 
 
 
 
 
天色の心理がよくわかる映画
 
   


死と再生の「隙間」、大いなる青―めぐりあう時間たち


作家ヴァージニア・ウルフが執筆する『ダロウェイ夫人』と、それに関与する3人の女性の一日が交錯して、世代を超えて展開されるストーリー。
めぐりあうことのない3人の女性の時間には、「生と死」というテーマが一貫して流れています。『ダロウェイ夫人』を愛読する主婦ローラは、黄色い家に、黄色い花束を抱えて帰ってくる夫と息子と住んでいます。夫の夢と理想の象徴のようなこの家に住み、理想的な妻を演じることに、ローラは疲れ果てていました。それでも自分を励まして、夫の誕生日に息子とケーキを作ります。彼女の抑えている気持ちをそっくり塗りこめてしまったような、真っ青なケーキ。このケーキを作りながら、ローラは死を決意するのです。しかし自殺は未遂に終わり、黄色いアイシングを飾った青いケーキで夫の誕生日を祝います。この時、ローラは自分が生きるために、家族を捨てることを決意。青という色に引きこまれる時、人はもしかしたら人生の呼吸の隙間、精神的な死と再生の瞬間に遭遇しているのかもしれません。

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