銀鼠色と共鳴する心  
 


感情が沈黙し、考えるとき。


有彩色には様々な感情が反映されやすいですが、モノトーン(無彩色)の場合はむしろ感情を抑制したり、せざるをえない場合に惹かれる傾向にあります。もちろん感情の抑制は、必ずしも精神的にマイナスの状態というわけではありません。学習や仕事など、いい意味での緊張感を必要とする時に、モノトーンはその集中力を高めてくれる作用さえあります。一方、何かショックを感じたり、恐怖を乗り越えようとしたりする時など、無意識のうちに黒を好むことがあります。これは黒を通して不安やショックを吐き出し、バランスをとろうとしているのです。黒の明度が高くなった銀鼠色は、白にも黒にも変化していける柔軟な状態ですが、「白黒はっきりしない」まさに「もどかしい」気持ちであることも。これが白になると、心理的にも“白紙”の状態。何か新しいことに取り組んだり、気分を切り替えたりと、まさに心機一新のことが多いようです。
この絵を描いた人は、転勤で新天地に行きましたが、周囲になじめずに「もどかしい」日々を送っているとのこと。丸まった胎児のようなイラストからも、自分の殻に閉じこもっている様子が伺えます。 

 
 
 
 
 
銀鼠色の心理がよく分かる映画
 
   


どん底の芸人に射す一条の光―ライムライト

これはタイトルにもあるように、舞台照明に主人公の人生を象徴させた白黒映画です。ライムライトとは、昔の照明装置のこと。歩けないバレリーナ、テリーと、世間から忘れられた老芸人、カルベロ。人生のどん底を這うようにして生きている人間が、一筋の希望にすがって生きようとする物語です。
二人の厳しい人生がモノトーンで語られ、希望が淡く黄色いライムライトに表現されているようです。白はすべての色光を反射し、黒はすべての色光を吸収してしまう色。その2色の間に、人間の喜怒哀楽を映し出す色彩が躍動しているはず。ですから、白と黒だけの画面は、人間らしい感情の躍動が、すべてカットされた世界のように見えます。カルベロは「人生は素晴らしい、大切なのは勇気と想像力だ、宇宙の力が君の中にもある」と、テリーを励まします。二人が追い求めてやまないのは、舞台で浴びるスポットライト。でもカルベロの言う「宇宙の力」とは、自分の中から照らし出すスポットライトのことなのかもしれません。

ライムライト

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