重色と共鳴する心  
 


多色で表現される喜怒哀楽。未来や過去へのヴィジョン。


人間は一つだけの感情を抱いていることは少なく、複雑な心理状態の時には自ずと複雑な色彩表現をしたりします。赤から紫までの色相、6〜7色がすべて同時に表現されると虹色になります。ということは、色相一つ一つに象徴される感情が一度に溢れだした表現といってもいいでしょう。喜怒哀楽すべての感情が同時に感じられるときというのは、どんな精神状態でしょう。日本語には「万感の想い」という言葉がありますが、まさにそのような状態ではないでしょうか。この絵を描いた人は、ちょうど人生の大きな転機を迎えたところでした。それが悲しいことであれ嬉しいことであれ、さまざまな思いがこみ上げたので、多くの彩りが浮上したようです。

 

 

 

 
 
 
 
重色の心理がよくわかる映画
 
   


砂漠にかかる虹―バグダッド・カフェ


虹が人間の感情の広がりを表すものなら、一方、人と人とを結ぶ架け橋になることもあります。そんな虹の美しさを見せてくれたのが、ドイツ映画「バグダッド・カフェ」。

人生に疲れていた二人は、最初激しくぶつかりあいました。しかし、ふとしたことから二人の間の不信感が共感に変わります。その瞬間カメラはモーテルの外、砂漠から立ち上る虹をとらえるのです。出現した虹は、女二人が互いに心を開き合った心的風景そのものです。こらえていた感情が流れ出した時、二人のそばにも本物の虹がかかったのでしょう。この映画が感じさせてくれるある種の透明感、それは私たちが心の扉を内側から開いて、生の歓喜を受け入れる時、「光の化身」である虹が恩寵のように姿を現す、そんな感動から生まれるのではないでしょうか。その意味で、女たちそれぞれの痛みに満ちた過去の体験は、人生の虹に出会うために必要な、激しい雨だったのかもしれません。


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