砂漠にかかる虹―バグダッド・カフェ
虹が人間の感情の広がりを表すものなら、一方、人と人とを結ぶ架け橋になることもあります。そんな虹の美しさを見せてくれたのが、ドイツ映画「バグダッド・カフェ」。
人生に疲れていた二人は、最初激しくぶつかりあいました。しかし、ふとしたことから二人の間の不信感が共感に変わります。その瞬間カメラはモーテルの外、砂漠から立ち上る虹をとらえるのです。出現した虹は、女二人が互いに心を開き合った心的風景そのものです。こらえていた感情が流れ出した時、二人のそばにも本物の虹がかかったのでしょう。この映画が感じさせてくれるある種の透明感、それは私たちが心の扉を内側から開いて、生の歓喜を受け入れる時、「光の化身」である虹が恩寵のように姿を現す、そんな感動から生まれるのではないでしょうか。その意味で、女たちそれぞれの痛みに満ちた過去の体験は、人生の虹に出会うために必要な、激しい雨だったのかもしれません。
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