☆緑色のカラーメッセージ 003☆バランスの緑(映画『MASK』より)
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バランスの緑
主人公のスタンリーは銀行に勤める冴えないサラリーマン。地味で没個性的なスーツに身を固め変化のないルーティンワークの毎日を過ごしている。変化もなく、張り合いのない仕事。上司は社長の息子で言いたい放題。人が良すぎて同僚にも都合良く利用されてしまう。しかし、彼がふとしたきっかけで、古い木製のマスクを手に入れるところから物語は展開する。それは身につけた人物の抑圧された感情を否応なしに引き出してしまう、なんとも不思議な力を持っているマスクだった…。 |
ある日、スタンリーがマスクを顔に近づけると突然、頭全体に張り付き、緑色の覆面になる。そして身に着けているファッションもビビッドな黄色のスーツやエルビス プレスリーのような派手で強烈な個性を感じさせるスタイル。この変身ぶりに気を良くした彼は街に繰り出し、憧れのナイトクラブで存分に踊り歌い狂う。これがあの、うだつの上がらない彼なのだろうかと驚いてしまうほどだ。
だけど、もし私もこの仮面を着けたらどうなるのだろう?普段、人から良く思われたくて様々な自分の欲求を無意識のうちに抑えているのは私も同じではいないだろうか?人のことを気にせず、本能のまま思い切り行動できたらどんなにか楽しいだろう。スタンリーの姿に、いつの間にか自分自身をダブらせて見ている私がいた…。
さて、その夜クラブで歌っていた美しい歌手、ティナにスタンリーは好意を寄せていた。彼女はクラブを経営するやくざの恋人。以前の彼だったら歯もたたない相手。だが、マスクを手にした彼は彼女に猛烈なアタックをする…。
映画は登場人物がマスクによって、人間の表と裏、理想と現実、欲望とあきらめが浮き彫りにされる様を描いている。そして面白いことに、マスクは着ける人間によって表情が変化する。それにしても色が緑色なのはなぜだろう。
「色彩学校」の調査では多くの人が緑からイメージする心理的キーワードとしては生命や再生、安定やバランスをあげている。スタンリーの場合を考えると、真っ二つに分裂してしまった感情を統合していくには緑の力を借りてバランスをとる必要性があったのだろう。抑圧し誤魔化してきた自分の心と向き合い、解放するところから本当の自分の在り方を取り戻していく主人公の姿はとても印象的だった。
「色彩学校」専任講師 岡崎美香
