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歌舞伎の二枚目の衣装
「浅葱色(あさぎいろ)」は歌舞伎には無くてはならない青色。みずみずしい伊達男や若侍など二枚目の衣装の定番です。まさに「水も滴る…」という台詞がぴったりくる色です。 (末永 蒼生著『色はことのは』より) |
「万能薬の黄色」
奈良の薬師寺に残る「薬師寺大般若経」は、優に千年の時を経ても保存状態を保っているといいます。奈良時代の紙に書かれたお経が、なぜこのように保存されているのでしょうか…?
実は、このお経の紙には、植物染色である黄蘗(きはだ)が染みこませてあったのです。昔の日本では、重要文書に“防虫効果”のある黄蘗(きはだ)染めの紙をよく使っていたそうです。千年も前に、その防虫効果が知られていたとは驚きですね!
(参考文献 『色はことのは』幻冬舎)
「黄金のキス」
今回ご紹介するのは、“黄色”に光を加えた“金色”の画家-クリムトの「接吻」。クリムトの作品には多くの「金色」が使われています。でも、なぜ彼は金色にこだわっていたのでしょうか?彼が「金色」を使った背景はいろいろと考えられますが、今回は「愛」という視点で色彩表現を見てみます。
この「接吻」を描いた頃の彼は、沢山の恋愛をしてきた中でも、この人は!という運命の相手に出会った“幸せの絶頂”の時。この絵に描かれている男性はクリムト自身。そして相手は生涯のパートナーのエミーリエなのです。
「今ここにある幸せな愛の瞬間を永遠に残したい!」…愛の高まりによる幸福感とその愛の永遠を願う希望の思いが金色に表されているようです。しかし、幸せが絶頂であればあるほど、隣り合わせに拡がる不安…「いつかこの幸せが崩れてしまうのでは?」という思いが、常にクリムトの中にはありました。この絵をよーく見ると、キャンバスの下に描かれた花畑はエミーリエの足元で止まり、その先にあるのは“崖”。永遠のものなどこの世にはないという絶望と、それ故に永遠を追い求める切望の気持ち。そのまばゆいほど狂おしい心の葛藤を、時を超えても輝きが失せることのない「金」で表現していたのかもしれません。
(「色彩学校」専任講師 佐久本恵)
「子どもに人気の黄色」
植物が光の力で伸びていくように…、子どもたちも光の色である黄色をさかんに絵の中に使いたがります。とりわけ幼児期ほどたくさんの"黄色"を使う傾向があると言えます。幼児期といえば、まず何よりも親の愛情を求める時期。親の愛情をいっぱいに受けるほど、子どもの心はすくすくと成長していきます。その「愛のエネルギー」の象徴が黄色によって描かれているのでしょう。それは、家族の愛の絆を確かめる色であり、新しい世界に飛び出していきたいという好奇心いっぱいの心。冒険アニメのポケモンの「ピカテュウ」が黄色で描かれ人気があるのも、子どもたちの好奇心や冒険心にぴったりの色だからかもしれませんね。
(末永蒼生著「心を癒す魔法の色彩力」主婦と生活社 参照)
「黄金色のトンネルをぬけて」
秋の夕日をうけて黄金色に輝く銀杏並木のトンネル。
吸い込まれるように、人々はその奥へ奥へと瞳を輝かせながら進んでゆく。
まるで、その黄色い光のトンネルの向こう側へ抜けたとき、何か新しい世界が待っているかのような期待を胸に…。
(文&写真:Hさん 女性)
「なつかい黄色の味」
黄色と聞いて浮かんでくるのは、幼少の頃に食べた菊の黄色だ。
生まれ育った家の庭に咲いていた菊。食用菊だったのかどうかは不明だ。おそらく普通の菊だったと思う。時々、祖母が摘み取っていた。湯がいて砂糖とお酢であえた味は、現在でも「あ、あの味」と鮮明に思い出すことができる。甘酸っぱいのに苦くて、正直ちっともおいしいと思えなかった。幼心に、せっかくおばあちゃんが作ってくれたんだから、おうちのお庭に咲いている自然のものだから、と言い聞かせて食べていた。
スーパーで、プラスチックのケースに入った食用菊が売られているのを見かける。でもやっぱり、あの庭の菊じゃなきゃ、と思う自分がいる。
(Tさん 女性)
森の緑
「森林浴」という言葉があります。森林はその緑色で心に安らぎを与えるだけではなく、樹木に含まれるフィットンチッドと呼ばれる殺菌成分が私たちの健康面に良い影響を与えてくれます。日本は“面積の約七割が緑に覆われている”と言われていますが、その意味では、本当に恵まれた環境ですよね。そのため、日本には緑を表す古い色名がたくさんありました。「萌黄色」、「柳色」、「青竹色」・・・みなさんは緑に関係のある色名をいくつご存知でしょうか?
(末永蒼生著『心を癒す魔法の色彩体験』より)
侘び寂びの緑
日本における緑を表す色名の中には、特別な文化的な意味合いを持つものがある。そのひとつが「利休鼠」。「利休鼠」は緑と灰色の中間の微妙な色調を持っていて、まさに霧の彼方に竹林の影を見るような趣のある色。緑は光の黄色と水の青が溶け合ったような、暖色でもなく寒色でもない、そのはざまにあり揺らめいている色ともいえる。この不可分な領域こそ、千利休が求めた世界であったといえるのではないだろうか…?
(末永 蒼生著『色はことのは』より)
バランスの緑
~映画 『MASK (マスク)』より~
主人公のスタンリーは銀行に勤める冴えないサラリーマン。地味で没個性的なスーツに身を固め変化のないルーティンワークの毎日を過ごしている。変化もなく、張り合いのない仕事。上司は社長の息子で言いたい放題。人が良すぎて同僚にも都合良く利用されてしまう。しかし、彼がふとしたきっかけで、古い木製のマスクを手に入れるところから物語は展開する。それは身につけた人物の抑圧された感情を否応なしに引き出してしまう、なんとも不思議な力を持っているマスクだった…。
永遠の緑
日本には、「千歳緑(せんざいみどり)」や「常磐色(ときはいろ)」といった緑を表す色名があります。また、ヨーロッパでも古くから、一年中緑の葉をつけるモミやヒイラギなどの常緑樹を、生命・希望の象徴として崇拝していたそうです。
いずれにしろ、常緑樹の緑に不変性や永遠性、不老長寿をシンボライズさせる気持ちは、和洋東西を問わず共通のようですね。
(末永 蒼生著『色はことのは』より)
目に良い緑
緑色の宝石といえば『エメラルド』。実はエメラルドは古来から「目に良い石」として珍重され、粉末にして目の病気の治療にも用いられたと言われているほどです。さらに、クレオパトラはエメラルドを粉にしてアイシャドウに使っていたとか…!
エメラルドを粉末にしてしまうのは気が引けますが、確かに美しい緑色を見ていると、なんとなく目の疲れが取れるような気持ちになりますよね。
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マドンナ・ブルー フランスでは女の子が生まれると、青い産着を着せる習慣が残っているといいます。実は、この習慣は聖母マリアにちなんだもの。そのことを語るのが「マドンナ・ブルー」という色名です。キリスト教において、青は天上の知恵を持つマリアの象徴であり、それゆえ、ダ・ヴィンチもラファエロもマリアに青い衣を着せて描いているのです。 (末永 蒼生著『色はことのは』より) |
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歌舞伎の二枚目の衣装
「浅葱色(あさぎいろ)」は歌舞伎には無くてはならない青色。みずみずしい伊達男や若侍など二枚目の衣装の定番です。まさに「水も滴る…」という台詞がぴったりくる色です。 (末永 蒼生著『色はことのは』より) |
青の心
“青”という字を含む日本語の文字や言葉を拾ってみると、「青天」「青春」「青雲」「清浄」「清澄」「静寂」「清冽」などがあります。いずれも、澄んで静かであることの意味を持っていますが、どこかに孤独のイメージを伴う言葉でもあります。興味深いことに、英語のBLUEにも「憂鬱」という意味があります。青という色は、内省的といっていいような静かで、時に孤独な、しかし凛とした強さを持つ精神状態と結びつくことが多いようです。
(末永 蒼生著『色はことのは』より)
青の空気
私たちが自然の風景を眺めるとき、遠くを見れば見るほど青みがかって見えるのはなぜでしょうか。その理由は、地球を包み込む大気の微細な粒子が、太陽光線を短い波長に変え、私たちに青い色を感じさせるからです。この原理を絵画表現に利用したのが「空気遠近法」。レオナルド・ダ・ビンチが『モナリザ』の背景に淡い青を使ったように、遠方の景色を青く彩るほどに遠近感が表現できるのです。
(末永 蒼生著『色はことのは』より)
空は何色?
青といえば、英語圏では空にちなんだ色名が多く、その総称が「スカイブルー」。中でもとくに天頂の色をさすのが「ゼニスブルー」。紫みをおびた青色です。逆に、地平線近くの緑がかった青色は「ホライズンブルー」と言われています。
時間や角度によって、刻々と変化していく空の色。ふとした瞬間、ぜひ空の色に目を向けてみてはいかがでしょうか。
(末永 蒼生著『色はことのは』より)